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海から生まれる電力。「洋上風力発電」が拓く未来

Kenny
| 2026/05/10
洋上風力発電は、海の上で風の力を電気に変える発電方式。 四方を海に囲まれた日本にとって、再エネの主力電源化に向けた切り札として注目されています。

洋上風力発電とは?

「洋上風力発電」とは、海の上に風車を設置し、海風の力で発電する再生可能エネルギーのことです。陸上よりも安定して強い風が吹く海域を活かすことで、効率的にクリーンな電気をつくり出すことができます。

仕組みは、陸上の風力発電と基本的には同じです。風の力でブレード(羽根)が回転し、内部の発電機を通じて電気が生まれます。違うのは、設置場所が海であることと、そのための土台の構造です。

洋上風力発電には、大きく分けて二つの方式があります。一つは「着床式」で、海底に基礎を固定し、その上に風車を建てる方法です。水深の浅い海域に向いており、欧州を中心に世界で最も普及している方式と言えるでしょう。 もう一つは「浮体式」で、海に浮かぶ構造物の上に風車を載せ、チェーンなどで海底に係留する方法です。水深が深い海域でも設置できるため、急峻な海底地形を持つ日本に適した方式として期待されています。

近年では、風車そのものの大型化も進んでおり、1基で数十MWの発電能力を持つ機種も登場しています。

 

なぜ今、洋上風力発電が注目されるのか?

洋上風力発電が再エネの主軸として注目される理由は、大きく三つあります。

第一に、エネルギー自給率の向上です。日本は、一次エネルギー供給の8割以上を化石燃料の輸入に依存しており、自給率はG7の中で最も低い水準にあります。陸上の再エネ適地が限られる中、四方を海に囲まれた地理的条件は、大きなポテンシャルを秘めていると言えます。

第二に、コスト低減の見通しです。欧州ではすでに大規模化と量産化によって発電コストが大幅に下がっており、日本でも案件形成が進めば、サプライチェーンの構築を通じて同様の効果が期待されています。

第三に、産業と地域への波及効果です。洋上風力は事業規模が大きく、関連する産業の裾野も広いことから、建設や運転・保守を通じて雇用創出や地方創生に貢献する電源とされています。 もちろん、近年は世界的なインフレや資材価格の高騰により、事業者撤退などの課題も指摘されています。それでも、エネルギー安全保障と脱炭素を両立する選択肢として、その意義は揺らいでいません。

 

(引用:資源エネルギー庁

世界と日本の取り組み

世界では、洋上風力発電が急速に拡大しています。自然エネルギー財団によれば、累積導入量は2024年時点で約83GWに達し、欧州と中国がその大半を占めています。

ヨーロッパでは、英国が累積導入量で世界トップクラスを誇り、2030年までに43〜50GWという高い目標を掲げています。ドイツやオランダ、デンマークも独自の高い目標を設定し、北海を中心とした多国間連携も進んでいます。 中国でも導入が急速に進み、2023年の新規導入量では世界の約6割を占めるまでに成長しました。アメリカでも東海岸を中心に大型プロジェクトが進行し、西海岸では浮体式の導入も検討されています。

日本でも、政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、「洋上風力産業ビジョン」を策定しています。2030年までに10GW、2040年までに浮体式を含めて30〜45GWの案件形成を目指す方針です。 2022年には秋田県沖で国内初の大規模商業運転が始まり、長崎県五島市では浮体式の発電所が稼働を開始しました。地域経済への波及効果や漁業との共生の事例も生まれつつあります。

(引用:資源エネルギー庁「2025年、日本の洋上風力発電」

 

私たちにできること。海と電気のつながりを考える

洋上風力発電は、巨大なプロジェクトの話のように感じられるかもしれません。しかし、私たちの暮らしや選択とも、確かに結びついています。

たとえば、契約する電力プランを見直すことは、その一歩になります。再生可能エネルギーを多く含む電力メニューを選ぶことで、再エネの拡大を後押しすることにつながります。

また、地域で進む洋上風力プロジェクトに関心を持つことも大切です。協議会の議事録や自治体の公開資料を読むだけでも、海を活かした地域づくりの議論が見えてきます。 漁業や観光、地元産業との共生をどう実現するかは、住民の声によって形づくられていくものです。

エネルギーの選択は、暮らしの選択でもあります。海から生まれる電気が、私たちの毎日を支える日が、少しずつ近づいています。

 

海風が運ぶ、未来の電気

洋上風力発電は、自然の風を電気に変えるだけの技術ではありません。エネルギーをどこから得るのか、誰と共有するのかという、社会のあり方そのものを問い直す存在でもあります。

海を見つめたとき、そこに並ぶ風車が「景色」ではなく「暮らしの一部」として感じられる日が来るかもしれません。 風を読み、波と向き合いながら、人と海が新しい関係を築いていく。その先に、持続可能な脱炭素社会の姿があります。

洋上風力発電は、未来の電気のかたちを静かに描き続けているのかもしれませんね。

 

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Webライター

名古屋市在住。 グルメメディアのライター/エディターとして活動するかたわら、環境問題にも取り組むITプロダクト会社に勤務。 持続可能なデジタル社会に興味を持ち、Web3分野を勉強中。

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