みんなのガイド vol.2|ICERC Japan代表 相良 菜央
幼い頃からイルカが大好き!「イルカたちのために、青く輝く地球を大切にする人でいたい」という想いを抱き、幼少期から、地球の明るい未来を願って“自分に出来ること”を模索し実行して来た。 ICERC Japan3代目代表に就任し、イルカ・クジラと自然の素晴らしさ・大切さを伝える活動をしている(イベント会場・学校での環境学習教室やビーチクリーンの開催等)。
自然を愛し、地球単位で考えて行動している人をインタビューする企画「みんなのガイド」。第2弾では、幼いころからイルカが大好きで、
「大好きなイルカと、イルカが暮らす世界を大切にしたい!」
と、イルカのために自分ができることを実践し続け、周りの人たちにも環境保護の大切さを伝え続けている、ICERC Japan代表 相良菜央さんにお話を伺いました。
イルカのためにできることを考え続けた幼少期
——環境問題に興味を持ち始めたのはどのようなことからでしょうか。
私は1歳半くらいのころにおばあちゃんの家の近くの鴨川シーワールドで初めてイルカを見てから、とにかくイルカが大好きで、「イルカたちのために地球の輝きをいつまでも保ち続けていよう!」と思い続けていたんですね。なので、何かきっかけがというよりも、物心ついた時からイルカたちのためにできることをしたい!と思ってたんです。
幼稚園くらいから街中にゴミが落ちているのを見て「地球がすべてつながっている」という感覚もあったんです。
このゴミがやがて海に流れていって、大好きなイルカの棲家を汚してしまう!という気持ちがあったんですが、小さいころは「汚いから拾うのをやめなさい」と親からも言われていたのでできませんでした。
でも小学生になると1人でも道路を歩けるようになったから、親に内緒で通学路に落ちているゴミを弟や友達と一緒に拾ったりしてました。
(目をキラキラさせながらイルカや環境についてお話しする相良さん)
——そんなに幼いころからイルカが大好きなんですか!「考えていた」というよりも「感じていた」ということですね!幼いころから願い続けていたことがそのまま今の仕事になっていると。
そうです!本当に小さいころから心に抱いていました。そのまま仕事になっているというよりも、この想いを軸に仕事を探していて、今に至っています。
小学校の係決めの時も、生き物が好きだったので生き物係にもなったんですが、新聞係にもなって、もっと地球のことやゴミのことをみんなに広めよう!と思って、学級新聞に環境のことを載せたり、子供ながらにいろいろなことをやってイルカの暮らす海や地球を大切にしよう!ってやっていました。
——小学生からかなりアグレッシブに活動していたんですね!
今はSNSがあるので簡単に情報発信したりできますけれど、私たちが小さい時ってそういったものってなかったじゃないですか。だから当時流行っていた「不幸の手紙」を「幸せの手紙」みたいにしてシールを貼ってみんなに回していたんです。
例えば今日は家の電気を消した人はそのシールをもらえるよ!シールもらったら次の人に回してね!とか、みんなが楽しく地球のことを考えられるようにするにはどうしたらいいんだろう?大好きなイルカを守るために、海の環境を守りたい、海を守るためにはたくさんの人にも大切さが広がってほしいと、小さいころから思って行動していました。
——相良さんの頭の中には脳ではなくて地球が入っているような感じですね。(笑)通われていた学校も海やイルカに関わるところですか?
小学生の時は海洋生物学者になりたいと思っていたんですけど、何かを突き詰めて研究することよりも、広めていくことの方が、人々の心の中にある優しさを呼び覚まして、みんなで地球をぐるっと包み込むようなアクションの方が好きだったので、大学生の時は環境教育の分野で学ぶことにしました。
その後は幼稚園の先生になったのですが、これもイルカたちのためなんです。この地球が好きな人を1人でも増やしたいと思って。
「環境問題を人に伝える時、あれしちゃダメ。こうしなさい。」だと心に響きにくいじゃないですか。だから、イルカや海、地球を好きになる子が増えたら、好きなものを守るためにああしたい、こうしたい、こうしたら楽しいよねって、好きなことや楽しいことを考えながら環境を守ることができたらいいなーって思って幼稚園で働いていました。
——確かに「やっちゃダメ、こうしなさい。」よりも自分の大切なものや好きなことだったら自発的に行動できますし、何より楽しいですよね。
そうなんですよー!やっぱりみんなが温かい雰囲気の中、自分たちの住む地球や大好きなイルカが大切にされていく世界って幸せだと思います。
波のように広がる「優しさの輪」と「行動の芽」
——相良さんに受け持ってもらえた園児たちは本当に幸せですね。現在はICERC Japanで代表理事をやられていますが、いつ頃から関わっていたんですか?
ICERC Japanは大学生のころからボランティアで参加していて、幼稚園の先生になった時も続けていて、2018年から代表に就任しました。
——生まれた時から今まで、ずっと相良さんがやりたいこと、楽しいことにどっぷり浸かっているんですね。
それこそ大学生のときからICERC Japanだけでなくてさまざまなボランティア活動やバイトもしていたんですけれど、スーパーのレジ打ちでさえも「地球のためにこの時間を使おう。」と思って。
30秒くらいの接客の間に目の前の人を笑顔にしよう!そうしたらこの人がまた誰かを笑顔にするかもしれない、さらにその先は地球全体に広がっていくかもしれないって思いながら働いていました。
レジ袋は要らないよって言われた時は心の底から「ありがとうございます!」って感謝を伝えていました。(笑)
——相良さんはきっと何をしていても、それが地球のためになることなら楽しめる人なんですね。ICERC Japanにはなぜ参加しようと思ったのですか?
ICERC Japanの何に惹かれたかというと、イルカやクジラだけを保護するのではなくて、地球全体の調和のために、町でできることはなんだろうって考えていて、まさに私が小さいころから行ってきたことと合致していたことが一番の理由です。
(画像:相良菜央さん提供。子どもたちに環境について話す相良さん。)
——まさに天職を見つけたかのような巡り合わせですね。相良さんの想いと行動ってすべて一貫しているからすごいです。
ICERC Japanと地域の方々みんなで地球を守っていくような、水の波紋がふわっと広がるように、優しい気持ちが広がっていくといいなという想いで活動しています。
それこそICERC Japanは、イルカやクジラや自然、海の素晴らしさと大切さを伝えている団体で、小学校や大学で特別授業のような形で講演活動をしたり、ビーチクリーンイベントなどを開催しています。
特にビーチクリーンイベントは、ごみを拾ったら終わりではなくて、ごみを拾ったらそれと同じ時間を後で参加者さん全員でディスカッションをするんですね。同じ苦労をしてごみ拾いをした仲間と、熱が冷めやらぬ間に話し合いをすることで、お互いがごみを減らすためのアイディアを出し合ったり、拾ったごみがどこから来たのかを話し合うことで、もっと意識が高まっていくんですよ。
そうすると単にイベントに参加して終わり!ではなく参加者さんたちが日常でも環境を意識して生活するようになって、さらに地球は綺麗になっていくと思うんです。
(画像:相良菜央さん提供。親子で参加するビーチクリーン。小さなごみだって見逃さないぞ。)
——講演を聴くのも大切ですが。実際に体験して、ごみのストーリーを考えるってとても大事なことですよね。全部自分ごとになりますし。
参加することで「自分の言葉」が出てくるのがすごく好きで。保育園の子達にワークショップをしてごみ拾いをした後、「海のごみって8割が家庭から出てきているもので、海のごみを拾うことも大切だけれど、自分たちの住む町でごみを減らすことが大切なんだよ!」って話をしたらある子が「僕が海のゴールキーパーになる!」て言ったり、参加した人たち各々が自分事として捉えてくれるんです。
別のイベントで参加した女性は、テレビでごみが何万トンあるとか、そういった情報を聞くよりも、1時間拾い続けて集めたごみの量を目の当たりにした方がずっと心に残りましたと言ってくれたり、小学生が学校で新たにSDGs係を作って、環境のことを学校に広めるんだ!って、言ってくれたり。
単に行動するのではなくて、心の中にその想いが芽生えて行動に移してくれる人がどんどん増えたらいいなと思って活動しています。
(画像:相良菜央さん提供。この中から未来の環境リーダーが生まれるかも。)
小さくてもいいから、せっかくできた火や種を絶やさない場所でありたい
——求められていることをするのではなくて、自分が必要だと思うことをやろうとする。ということですね。相良さんやICERC Japanが今後やりたいことや、ICERC Japanがどうあったらいいなと思いますか?
今までの活動が波のように人の影響が広がっていくことにプラスして、そうやって環境に目を向けた人たちにとってICERC Japanが帰ってこれる場所にもなれたらいいなと思います。
活動に参加してくれた方の中には、それがきっかけで活動してくれている人も少なからずいると思いますし、でもその想いがほかの人と共有できなかったりすると、せっかくの灯火が消えちゃうじゃないですか。
その灯火を消したくない人たちが帰ってきて、息を吹きかけてもらって、灯火が大きくなって、その灯火がまた小さな灯火を作っていくような場所にICERC Japanがなれるのもいいと思いますし、たくさんの場所で小さな灯火ができたら、それがどんどん広がっていくと思うんです。
灯火の温かさが波紋のように広がり、そして地球を包み込むことができたら、本当に幸せな世界になると思います。
——それは本当に素敵なことですね!最後に、地球環境のために僕たち1人ひとりができることを教えてください。
いっぱいあると思うんですけれど、何か地球のためにできたと思ったら、カレンダーや手帳とかに◎をつけるんです。
例えば、今日はいつもより早く電気を消したとか、レジ袋を断ったとか、そんな小さなことでもいいんです。だって、人それぞれできることって違うじゃないですか。だから、自分だからこそできることを見つけて、できたら◎を自分にあげるんです。
楽しみながらやることで続けていけるし、無理なく続けることができた自分を大切にしてあげてほしいなと思います。
KENNY
Kenny
Webライター
名古屋市在住。 グルメメディアのライター/エディターとして活動するかたわら、環境問題にも取り組むITプロダクト会社に勤務。 持続可能なデジタル社会に興味を持ち、Web3分野を勉強中。