カトリンと始めるエシカルライフvol.3|環境も体も健康に!ヴィーガンが地球を救う
- 私たちの暮らす地球は、常にさまざまな問題に直面しています。
そのうちの1つが、環境問題です。
お話を聞かせてくれるのは、環境保護活動家でNPO法人HAPPY PLANETの代表を務める宮澤カトリンさん。
この企画では国内外で活動してきたカトリンさんに、環境問題による影響や世界の取り組みについて教えてもらいながら、今、私たちにできることを探っていきます。

ドイツ・ベルリン出身。日本の伝統文化に興味を持ち上智大学に留学。今年で日本在住9年目。
大学在学中に訪れたフィリピンで、台風による甚大な被害を目の当たりにしたのをきっかけに気候変動に興味を持つ。
2022年、環境活動を行うNPO法人HAPPY PLANETを設立。
現在は名古屋を中心に、環境問題に関する講演やボランティアに取り組む。
活動のモットーは「楽しみながら、問題に対する解決策を見つける」。
私たちの食べている牛肉が、環境問題の原因に
——カトリンさんは、日頃からヴィーガン食を意識しているそうですね。
はい!ヴィーガンとは、肉や魚、乳製品、卵といった動物性食品を食べないライフスタイルのことです。
日本でも、ヴィーガン向けの食品やレストランをよく見かけるようになりましたよね。
皆さんのなかには「ヴィーガンとベジタリアンってなにが違うの?」と疑問に思っている人もいるかもしれません。
(フリー素材使用)
ベジタリアンは肉や魚を食べない人を広く指す言葉で、その中でも食べられるものの範囲や考え方によってさまざまな種類に分かれています。
ヴィーガンは、そんな数あるベジタリアンのうちの1つで、肉や魚に加えて卵や乳製品も避けます。
食に関してだけでなく、動物を苦しませないために皮製品やシルク、ウールなどの動物製品を身に付けない人が多くいるのが特徴です。
——カトリンさんは、どのようなきっかけでヴィーガン生活を始めたのでしょうか?
もともと1日に2~3回は牛丼を食べるような人で、「絶対にベジタリアンにはならない」と思っていたんです。
私の場合、スタートはやっぱり環境問題。Netflixで観た「Cowspiracy」というドキュメンタリーがきっかけでした。
まず、畜産は森林伐採の主な原因となっているのをご存じですか。
牛を育てるには、1頭あたり約1ヘクタールの広さが必要と言われていて、ブラジルやアフリカなどの地域では、牧場の建設や飼料を生産する目的でこれまで多くの森林が伐採されてきました。
(フリー素材使用)
森林や雨林は「地球の肺」と呼ばれ、生物多様性の維持に重要な役割を担っているにも関わらず、これまで伐採された雨林のうちの8割が畜産のために刈り取られたものでした。
しかも、そうして作られた牛肉のほとんどがその土地の人々の口に入るのではなく、先進国によって消費されています。
牛肉を生産するために、地球温暖化の原因となる温室効果ガスが多く排出されているほか、牛のゲップにもかなりの量のメタンガスが含まれていて、これも地球温暖化が深刻化している原因の1つになっています。
(フリー素材使用)
現在、地球上には私たち人間も含め5,500種類ほどの哺乳類が暮らしています。
そのうち、野生動物が占める割合はどれくらいだと思いますか?
驚くことに、たったの4%です。人間は36%、そして家畜が60%がとなっています。この数字を知った時は、本当にショックでした。
人間が大量に増やした家畜が環境に大きな負担をかけており、家畜から排出される温室効果ガスは、世界のすべての乗り物(車、飛行機、船、バスなど)から排出される温室効果ガスの総量に匹敵するのです。
(出典:Guardian)
私たちが牛肉や乳製品を食べる機会を減らすことで、森林や生物を守り、気候変動を食い止めることにつながるということを、もっと多くの人に知ってもらいたいと思います。
スーパーやレストランも充実、今こそ始めるタイミング
——動物性食品を口にしない生活。始めてみていかがでしたか?
私は、2019年の終わり頃から食事スタイルをヴィーガンに変えました。
始めてすぐは、難しさを感じることもありました。ですが、今はスーパーの商品数も増え、夜遅くまで営業しているチェーンレストランでもヴィーガン向けのメニューが提供されています。
有名なところで言うと、CoCo壱番屋やデニーズ、モスバーガー、スターバックスコーヒー、ドトールなど。
(カトリンさん提供:自宅での朝ごはん『アボカドバゲット&フレンチトースト』)
普段メインで食べているのは野菜や豆腐、豆乳です。最近は、大豆で作られた代替肉、いわゆる「大豆ミート」を取り扱う店も増えてきていて、毎日のメニューには困りません。
ちなみに私のお気に入りは、焼き肉のタレで食べる油揚げです!
野菜中心の生活で体にも心にも良い変化が!
——ヴィーガン食を取り入れることで、健康面で何か変化はありましたか?
はじめのうちは、体調への影響があるのでは?と少し心配していました。でも、実際にはその逆でした!
以前はバランスの良い食事をあまり意識していなかったのですが、肉を豆腐や野菜に置き換えたことで、年に一度の健康診断の結果がすべて改善したんです。
体重が健康的に減り、肌の調子もとても良くなりました。
(フリー素材使用)
肉や乳製品は腸に負担がかかる食品ですから、それらを控えるようになってからは睡眠の質が向上し、日中の集中力やエネルギーもアップしたようにも感じます!
そもそも人間は今ほど肉を食べていなかった時代が長く、週や月に一度くらいの頻度だったと言われています。
だからこそ、私が食生活を菜食中心へ変えて健康的になったのは、自然なことだと納得しています。
今では、もっと早くヴィーガンを始めていれば…と感じるほどです。
(カトリンさん提供:デニーズの大豆ミートハンバーグ)
皆さんに紹介したいのが、こちらもNetflixで配信されている映画「Game Changers」。
世界のトップレベルのアスリートたちが、なぜヴィーガンを選んでいるのかについて描かれていて、とても興味深い内容になっています。
——これからヴィーガンを始めてみたいという人に、伝えたいことはありますか?
完全に肉や乳製品をやめるのが難しい場合にも、決して無理をする必要はなく、自分が心地よい範囲で少しずつ生活を変えていくことが大切だと思います。
0か100ではなく、40%ヴィーガンや70%ヴィーガンと自分に合った程度で行動する人もいますし、月曜日だけヴィーガンの食事にするという人もいるんですよ。
先ほどもお話したように、最近はスーパーにもたくさんの選択肢があり、プラントベースのチーズや豆腐、豆乳、美味しい野菜が簡単に手に入ります。
初心者の方には「vcookヴィーガンレシピのブイクック」のインスタグラム紹介されているレシピが、とてもおいしく簡単にできるのでおすすめです!
書店では、彼らの料理本も販売していますよ。
(『vcookヴィーガンレシピのブイクック』のインスタグラム)
たとえ小さな一歩でも、私たちの食事の選択で地球を救うことができるはずです。
私のインスタグラムのアカウントにも、環境問題に関する発信に加えて、日々の食事や美味しかったヴィーガン料理のお店を紹介しています。
ヴィーガンに興味のある人や、動物性食品を使わない料理を食べてみたい!という人がいたら、ぜひ参考にしてくださいね!

NAKAYAMA SAORI
saori
フリーライター
東京都在住。インタビュー記事をメインに活動するライター。前職はテレビ局の記者で、趣味はサッカー観戦(Jリーグ・プレミアリーグ)。最近、美味しいヴィーガンクッキーに出会ったことをきっかけに、ヴィーガン食やサステナブルな商品に興味を持ち始めました!