みんなのちきゅう | 「一人でも多くの実践者を増やす」ことを目指し、全国の活動家とメディアを作り上げています。

みんなのリーダー vol.1|株式会社ブイクック 代表取締役 工藤 柊

Kenny
| 2024/02/01
「みんなのリーダー」では環境問題に対して向き合う人たちをご紹介します。 今回は、株式会社ブイクック代表の工藤 柊(くどう しゅう)さんをインタビューしました。
工藤 柊(くどう しゅう)
株式会社ブイクック 代表取締役

動物倫理と環境問題を理由に、高校3年生から自身もヴィーガン生活を実践。実際に始めにくさ・続けにくさを実感し、誰もがヴィーガンを選択できる"Hello Vegan!"な社会をつくることを目指す。現在は、ヴィーガン冷凍弁当「ブイクックデリ」、ヴィーガンレシピ投稿サイト「ブイクック」、ヴィーガン商品専門EC「ブイクックスーパー」を運営する。

株式会社ブイクック

 

工藤さんがヴィーガンを始めたきっかけ

——そもそもヴィーガンを「選択」したのはなぜですか?

僕がヴィーガンを始めたのは高校3年生の秋。学校の帰りに車に轢かれていた猫を見た時ですね。それまでにもそういった状況は目にしたことはあったのですが、それがすごくショックで。自宅に帰ってから、年間どれだけの犬や猫が轢かれているのか、その原因はなんなのかと調べている中で、保健所の殺処分や畜産業での屠殺処分がとてつもない数であることを知り、今まで何も考えずに食べていた肉類の裏側ではこんなにも多くの動物が処分されていたのだということに衝撃を受け、調べた翌日から肉や魚、乳製品、卵も食べない生活をしてみようとたのがきっかけです。

(引用:ブイクックメディアガイド)

 

——翌日から!すごい行動力…。家族の方は困惑したのではないですか?

当時は学生で、食事を母が作ってくれていたのですが、母に相談したところ、反対されたりはなかったですがやはり困惑していましたね。じゃあ何を作ればいいのと。(笑)それこそ肉や魚や乳製品を使わない料理なんて考えるのも大変だったと思います。

なので3週間くらいはおにぎりや野菜を煮ただけのものにポン酢をつけるだけのようなものを食べ続けていました。鶏ガラや鰹節なども動物性ですから、味付けも薄味でしたね。

 

世界中のヴィーガンのために立ち上げた「ブイクック」

——ヴィーガン食を美味しく食べるために何をすればいいのか、というところが今の事業に活きているのですね。

母と一緒に動物性食品を使用しないで今まで食べていたものに近い料理、例えば薄揚げをもう一度油で揚げて唐揚げっぽくしたりと工夫していましたが、やはり当時は調べてもヴィーガンレシピが少なかったので、ヴィーガンを実践しようと思ってもなかなか難しかったです。

当時大阪でも少ないながらにもヴィーガン食を提供する飲食店があり、実際に食べたら美味しかったんです。僕自身は情報が少なくて料理も苦手でしたが、料理ができる人は美味しくヴィーガン食を作ることができるんだなと。

なので、料理の仕方がわからない人に、美味しいヴィーガン食の作り方を知っている人が教えるようなものがあればいいなと思って始まったのが、ヴィーガンレシピ投稿サイト「ブイクック」なんです。

ブイクックはヴィーガン料理に特化したレシピ投稿サービス。“ヴィーガンの食卓を豊かにする” をミッションに掲げ、ヴィーガン料理の美味しさ・幅の広さ・食卓の笑顔の3つの豊かを実現することを目指しています。

また、ヴィーガン料理に挑戦したい人やレパートリーを増やしたい人との橋渡し役のような存在を担っています。

https://vcook.jp/

 

——ブイクックを拝見しましたが美味しそうなレシピがたくさん揃っていますね!

運営側がレシピを公開するメディア型やみんなで書き込む掲示板ではなく、ヴィーガンを実践している人たちがSNSのように投稿できることで、みんなで助け合えるようにしよう、というコンセプトで運営を続けています。

あれだけたくさんのレシピが投稿されているのは、やはりまだまだ少数派のヴィーガンの人たちにとって「一人じゃないんだ」という安心感を得られているのと、レシピをシェアすることでヴィーガンを楽しんでもらえているのだと思います。

 

——ヴィーガンの人たちにとって、ブイクックはサードプレイスのような存在のように感じます。

まさにそうでして、嬉しかったのはユーザーさんの声がありまして。都心部でしたらヴィーガン専門店や同じヴィーガンを実践している人がいたりするのですが、地方に行くと仲間がいないんですよね。なのでそういった人たちは孤独を抱えてながらヴィーガンを続けていたりするんです。

ですが、ブイクックでは毎日新着レシピが届くのを見て、自分だけじゃないんだ、がんばれる、というコメントをいただいた時には、本当にやってて良かったと僕たちも思いました。

 

(引用:株式会社ブイクック提供)

 

ヴィーガン食で環境問題などアクションができる

——ヴィーガンを選択することで環境や動物を守ることができるというのは具体的にどういったことでしょう?

1番分かりやすいのは温室効果ガスの削減。これは「DRAWDOWN ― 地球温暖化を逆転させる100の方法:ポール・ホーケン著」という本に書いてあったのですが、温室効果ガスの削減について人々がどういったアクションができるかをインパクトがある順番に記載がされていて、1番目の項目がフードロスの削減、そして2番目にインパクトが大きいアクションが「植物性中心の食事」とされているんです。それだけ食と気候温暖化が関係しているということですね。

そもそも食品が生成される中で一番温室効果ガスが排出されるのは牛肉なんです。牛が排出するメタンガスや、牛を育てるために必要な小麦やとうもろこしを作ったり放牧するために森林を伐採したりと、畜産業で得られる食品の温室効果ガスの排出量は圧倒的に多いのが現状なんです。

(引用:ブイクックヴィーガン業界丸わかりレポート2022年版)

 

なので僕たち人間が畜産製品の消費を抑えることで、温室効果ガスの削減につながっていくようになっています。

食品だとピンと来る人があまりいないのですが、タンブラーを持ち歩いたり、エコバックのようなものはわりと普及していると思うんですよね。プラスチックの生産を抑制することで温室効果ガスの削減につながっていたり、ビニール袋からエコバックに置き換えるように、畜産製品から大豆ミートに置き換えることで温室効果ガスの削減につながっています。

 

今の日本のヴィーガンの課題

——海外では社会的にもヴィーガンという存在が当たり前のように認められていますが、日本ではどうですか?

日本でも年々ヴィーガン生活を送る人が増えてきているのですが、課題が大きく分けると4つあります。

1つ目は自炊。情報が少ない中で自分で調理するとなると、どういった食品でどのような料理を作ればいいかわからない。相談できる人もなかなか少ないので、ヴィーガンを始める上で1番最初の課題になるのではないかと思います。そのためにブイクックを運営しています。

2つ目は飲食店。ヴィーガン専門店やヴィーガン対応してくれるお店は都心では少しずつ増えてはきていますが、都心を離れるとほとんどない。あったとしてもなかなか知られていないのが現状です。

この課題に関しては飲食店や宿泊施設とともに今後取り組んでいく予定です。

3つ目は買い物。ビーガン食の冷凍食品やレパートリーが少なく、忙しく働く中で毎日自炊をすることが難しい人たちが、ヴィーガン食を気軽に食べられないということ。本当は大きな食品会社では多くのヴィーガン商品が開発されていて、1,000〜2,000種類ほどあるにもかかわらず、店頭で流通、販売されていることがほとんどないんです。

この課題のために「ブイクックスーパー」といってヴィーガン生活を支える食品をまとめて取り扱うECサイトも運営しています。

ブイクックスーパーは、ヴィーガン食専門のECサイト。300種類以上のヴィーガン食を取り扱い、忙しい人でも気軽にヴィーガン食を楽しめるだけでなく、1箇所に集約することで配送コストの削減にもつながっているサービス。

https://vcooksuper.jp/

そして最後は人間関係。簡単にいうと偏見なのですが、「ヴィーガンやっているんだ」というだけで批判されたりということですね。若い世代の人たちや都心の人たちにはまだ理解してもらいやすいのですが、年齢層の高い方や地方では理解されにくく、自分がそもそもヴィーガンであることを明かせず抱え込んでいる人も多くいます。

(引用:株式会社ブイクック提供)

 

まずは1食変えるだけで環境保全に貢献!

——ヴィーガンに興味を持った方や環境や動物保護のためにヴィーガンを始める人たちにアドバイスをお願いします。

突然食生活を変えることは難しいと思いますし、ヴィーガンと聞くと0か100のように考える人が多くいるのですが、1日3食食べるとすると、1ヶ月で100回弱くらいの食事があると思うんです。その100食のうちたった1食だけでもヴィーガン食に変えることだけで1%もの影響力があるんですよね

例えば外食なら、ヴィーガンというワードで調べてそのお店で食事をしたり、普段飲む牛乳を1回だけ豆乳にしたり、牛肉をたまに大豆ミートにしてみたりと自分の手の届く範囲で始めていくと、意外に美味しかったりして、楽しみながらできる範囲が増えていくのではないかと思います。

 

——自分の小さな取り組みが目に見えない環境問題に対してアプローチしていることにつながるのですね。

そうです。1食ヴィーガン食に変えるだけでも地球環境に大きなインパクトがあるので、できる範囲で取り組むことができたらと思います。

 

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| 2024/02/01
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Webライター

名古屋市在住。 グルメメディアのライター/エディターとして活動するかたわら、環境問題にも取り組むITプロダクト会社に勤務。 持続可能なデジタル社会に興味を持ち、Web3分野を勉強中。

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