ネオニコチノイド系農薬と環境問題〜生態系を脅かす農薬とは〜
ネオニコチノイド系農薬とは?
ネオニコチノイド系農薬(ネオニコチノイド類)は、1990年代に開発された比較的新しい種類の農薬で、昆虫の神経系に作用して殺虫効果を発揮します。
ニコチンと化学構造が似ていることから、この名前が付けられました。
この農薬は、世界中で広く使われており、その効果の高さから多くの農家で使用されています。
【ネオニコチノイド系農薬の特徴】
1. 高い効果:ネオニコチノイド系農薬は、少量で高い効果を発揮するため、農家にとって経済的な利点が大きく、少量の農薬で広範囲の害虫を駆除できるため、使用回数も少なくて済みます。
2. 持続性:この農薬は、土壌や植物内で長期間効果を持続することができます。これにより、一度散布するだけで長期間にわたって作物に作用することができます。特に、大規模農業においては、この持続性が大きなメリットとされています。
3. 低い哺乳類毒性:ネオニコチノイド系農薬は、人間や家畜への毒性が比較的低いとされています。このため、他の農薬と比べて安全性が高いとされ、特に食用作物に使用する際のリスクが低いと考えられています 。
環境問題とネオニコチノイド系農薬
しかし、ネオニコチノイド系農薬には、以下のような環境問題が指摘されています。
ミツバチへの影響
(フリー素材使用)
ネオニコチノイド系農薬がミツバチの神経系に作用し、方向感覚や記憶力を損なわせることがあります。
これにより、ミツバチが巣に戻れなくなる「蜂群崩壊症候群(CCD)」の一因とされています。
ミツバチは受粉活動を通じて多くの農作物の生産に貢献しているため、その減少は食糧生産にも大きな影響を及ぼす可能性があります 。
ミツバチの減少は、単に蜂蜜の生産に影響を与えるだけでなく、果物や野菜などの作物の受粉にも大きな影響を及ぼします。
これにより、農作物の収穫量が減少し、食糧供給にも影響が出る可能性があります。
●水質汚染
(フリー素材使用)
ネオニコチノイド系農薬が雨や灌漑(かんがい)によって河川や地下水に流れ込み、水質汚染を引き起こすことが懸念されています。特に、水生生物に対する影響が大きいとされています。
魚類や水生昆虫に対しては毒性が高く、生態系のバランスが崩れる可能性があります 。
例えば、ネオニコチノイド系農薬が水中に流れ込むことで、魚の繁殖力が低下し、個体数が減少することがあり、水生昆虫の減少は、それを餌とする鳥や他の生物にも影響を与えます。
こうした影響が連鎖的に広がることで、全体の生態系が大きく変わる可能性があります。
●生物多様性の減少
(フリー素材使用)
ネオニコチノイド系農薬が土壌中の微生物やその他の無脊椎動物に影響を与え、土壌の健康や生物多様性を損なう恐れがあります。
土壌中の微生物は、植物の成長に不可欠な栄養素の分解や供給を行っているため、その減少は作物の生育にも影響を与えます 。
さらに、土壌中の無脊椎動物の減少は土壌の構造を悪化させる可能性があります。
これにより、土壌の保水性が低下し、作物が必要とする水分を十分に供給できなくなることがあります。
また、生物多様性の減少は、自然界全体のバランスを崩し、生態系の健全性を損なうリスクがあります。
規制と対策
世界各国では、ネオニコチノイド系農薬の使用に対する規制が強化されつつあります。
●欧州連合(EU)
欧州連合(EU)では、2018年に主要なネオニコチノイド系農薬の屋外での使用を禁止しました。この規制は、ミツバチやその他の受粉昆虫への影響を考慮したもので、環境保護の観点から重要な一歩とされています 。
●日本
日本でも、ネオニコチノイド系農薬の使用について見直しが進められており、一部の使用方法や作物に対して規制が強化されています。
また、消費者や環境団体からの要望を受けて、さらなる規制強化の動きも見られています 。
代替手段の模索
ネオニコチノイド系農薬に代わる持続可能な農業方法として、以下のようなアプローチが提案されています。
●生物農薬の利用
天敵昆虫や微生物を利用して害虫を制御する方法が注目されています。
例えば、害虫を食べる天敵昆虫を放つことで、化学農薬に頼らずに害虫を減らすことができます。
また、特定の病原菌やウイルスを利用して害虫を駆除する方法も研究されています 。
●輪作や間作
異なる作物を交互に植えることで、害虫の発生を抑える方法も効果的です。
特定の害虫は特定の作物を好むため、輪作や間作を行うことで害虫の繁殖サイクルを断つことができます。
この方法は、土壌の健康を保つ効果もあり、持続可能な農業に寄与します 。
●持続可能な農業技術
有機農業や精密農業など、環境に配慮した農業技術の導入も重要です。
有機農業では、化学農薬を使用せず、自然の力を利用して作物を育てます。
一方、精密農業では、IT技術を駆使して作物の生育状況を詳細にモニタリングし、必要最小限の農薬や肥料を使用することで環境負荷を減らすことができます 。
まとめ
ネオニコチノイド系農薬は、その高い効果と持続性から農業において重要な役割を果たしてきた一方で、環境や生態系への影響が懸念されており、特に、ミツバチへの影響や水質汚染、生物多様性の減少などが問題視されています。
そのため、持続可能な農業方法への転換が求められており、規制や代替手段の模索が進められています。消費者としても、環境に配慮した選択を心がけることが大切です。
例えば、有機農産物や環境に優しい農業方法で生産された食品を選ぶことで、環境保護に貢献することができます。
私は仕入れや買い物の半分以上をコープ自然派で補っています。
ネオニコチノイド系農薬不使用な物かどうかもひと目で分かるカタログなので、選びやすいです。
コープ自然派は関西を中心としていますが、他にも自然環境に配慮した宅配サービスなどもありますし、スーパーにもオーガニックの商品など、少しずつですが増えてきています。
私たちが選ぶことによりオーガニック食品を取り扱う量も増え、オーガニック農家さんが増えていけば、環境改善にも繋がります。
未来の地球のために、私たち1人ひとりができることから始めていきましょう。
YOSHIOKA SAEKA
吉岡 冴香
オーガニックカフェcarna代表
大阪府堺市出身。2児の母。 12年前健康な食事に変更した事で息子のアトピー&喘息が完治したことをきっかけに健康な食事の勉強を続けて行く。勉強していく中で健康と環境問題は切っても切り離せない事に気付き、多くの人に広めたいと思い材料にこだわったオーガニックカフェをオープンした。星読みカウンセリングも行っている。