【森の健康診断】木育~森林を訪ねるワークショップ レポート①
森林を訪ねる
里山で生活する人々からすると訪ねるだなんて『わざわざ感』な表現は、ちょっと大げさに聞こえるかもしれません。
しかし都会を中心に川下で生活する者、とりわけ若者にとって森林とは非日常であり、その実態について日頃触れることもなく、物理的にも心理的にも『遠い』場所と言えます。
だからこそ筆者としてはあえて『訪ねる』という表現に『遠さ』を込めたみたつもりです。
今回のレポートを通して、ご覧になる方自身もぜひその距離を実感する一助になれば一種の啓蒙の機会となり得るかなと…。そんな期待も込めて、今回は筆者が参加した森の健康診断をレポートします。
森林の役割と現状
森林の役割とは水源、木材生産、災害予防、生態系のゆりかご、CO2の吸収、酸素の供給と、生命にとって欠かせない役割を担っています。日本は国土のおよそ70%を森林が占める森林大国です。
しかしながら、なぜ現代人にとって森林は『遠い』ものになっていったのでしょうか。その距離間を埋める事が当面の課題と言えそうです。
森林は大きく分けて「天然林」と「人工林」に分けられます。それぞれ、天然林=手つかずの原生林、人工林=人の手を入れて育成している森林を指します。森林全体面積でみる天然林と人工林の割合はおよそ半々程度です。
森林は生命にとってかけがえのない資源です。それは私たち人間にとっても当たり前のことです。その森林を私たちは継続的に整備し守っていかなければなりません。
「森の健康診断」とは現状の森林が適切に整備されているかを調査する活動です。これまで『遠い』存在だった我々が主体的に現状を知る事が目的です。
そんな森の健康診断、今回のレポート舞台は愛知県岡崎市の森林です。岡崎市は市面積の実に60%が森林です。「緑豊かな街」であると同時に必要な整備、課題も多く抱えていると言えます。
森の健康診断方法
開会当日、集合場所には200名近くの参加者が集まり、中にはバスをチャーターして集団で参加する方もいました。バスの1台は東京大学の学生が大勢で参加していました。全体を見ても年齢層はかなり幅広く遠方からの参加者がとても多いです。それだけ関心の高さがうかがえます。
森の健康診断は数人のチームに分かれて行うため、1チーム5名から7名程度でメンバーの構成をしていきます。メンバーのバランスは主催者が事前に取ったアンケートから体力や知識を考慮し振り分けられていました。
そして各チームに1人ずつ、必ず見識のある専門家が同行します。私のチームのメンバーには植物の知識を有した専門家が同行しました。私のチームにも件の東大生もしっかりと名を連ねていました。チームを組んだ後は、各チームごとに調査するエリアを区分けして現地へ車で向かいます。
適正な間伐が森に活力を与える
間伐とは樹木を間引きして採光や採風を促し、土壌の活性化や樹木の生育を促す整備のことです。診断では巻き尺やロープなどを使って樹木の間隔を計測したり、根本付近に生えている植物を調べていきます。土壌の安定は災害予防、草木の発育は生命のゆりかごになります。無論木の生育を妨げないことで木材としての価値も担保できます。光も風も五感で感じながら診断は進んでいきます。
終了後は各チームごと調査結果を提出し感想をシェアします。最後に数名の方が感想を述べてくれました。皆、実際に体験する事の価値を大いに感じた様子で、机上の知識とは違った学びはまさしく情操教育と言えます。
今回は森林に対する見聞を深めただけでなく、活動を通して遠かったものがグッと近づいたように感じました。
消費者として生活者として簡単な活動
森林のイベントは調べてみると多く開催されています。親子でも、友達とでも、おいしい空気の校外学習なんていかがですか?
また身近な活動として推奨するのは買い物です。原料となる木材にも、出来るだけ国産材を使うことができれば素敵ですよね!
そんな適正管理された国産木材を証明するマーク、それが「FSC認証」マークです。普段の買い物でチェックするのは値段、添加物の他にもう1つ「FSC認証マーク」!国産木材流通促進は、私たちにできる簡単な森林保全活動なんです。
消費者として、生活者として、同じ地域に住む仲間として、なにより未来の子供たちへ、豊かな緑、きれいな水と災害の少ない街をつなげていきましょう!
そもそも森林の問題は無関心で居られても、決して無関係では居られません。
楽しく分かりやすいメディア紹介
各団体や個人が開催する木育イベントやワークショップへの参加も手軽でお勧めですが、なかなか忙しくて時間も取れないという方に森林の事を楽しく知れる筆者おすすめの映画をご紹介します!
「WOOD JOB」という映画です。
長澤まさみさん、伊藤英明さんなどビッグネームがしっかり出演しているのに意外にも知られていない…分かりやすくて大変良くできた映画です!
林業や森のことを楽しみながら、へぇーというノリで観れます!おすすめですよ!
農水省のコメントも載っています。
Kazoo
kazoo
リフォーム、リノベーションのKPPK代表
愛知県在住 リノベーション会社KPPK代表 【日本一のDIYマスター】 【ウッドライフアドバイザー】 住宅、店舗のリフォーム、リノベーションの他、DIY参加型リフォームや廃材を使ったワークショップ、出前授業、木を知るイベント『間伐体験ツアー』の開催 森林保全、森の役割と現状を伝えます。またモノづくりを通して人にも環境にも良い暮らしを提案をしています。 『モノづくりは時づくり』