「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」SDGs第7項目を理解しよう
持続可能な開発目標(SDGs)の第7項目「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、すべての人々が安定してクリーンなエネルギーを利用できる社会の実現を目指しています。本記事では、エネルギー問題の現状、主な課題、各国の取り組み、そして私たちが日常生活の中でできることについて解説します。
エネルギーの現状
世界のエネルギー事情
エネルギーは、私たちの生活や経済活動に不可欠なものです。しかし、世界にはいまだに約7.6億人が電力を利用できない状態にあり、特にアフリカや南アジアの農村部では電気のない生活を強いられています。また、多くの地域で化石燃料に依存したエネルギー供給が行われており、二酸化炭素(CO2)排出による気候変動が深刻化しています。
エネルギーへのアクセスは、教育や医療、経済発展にも大きく影響を与えます。電気がない地域では、夜間の学習が困難になったり、病院での医療機器が十分に稼働できなかったりするケースが多く見られます。また、化石燃料を利用した発電はコストが高く、経済的負担も大きい問題です。そのため、より安定的で持続可能なエネルギー供給が求められています。
日本のエネルギー事情
日本では、電力の供給は比較的安定していますが、エネルギーの約88%を海外からの輸入に頼っているため、エネルギー安全保障の観点からも課題があります。また、再生可能エネルギーの導入は進んでいるものの、依然として化石燃料による発電が主流であり、脱炭素社会への移行が求められています。
近年、日本では太陽光発電や風力発電の導入が増加しており、企業や自治体が積極的に再生可能エネルギーを活用する動きも見られます。しかし、エネルギーの安定供給やコスト面での課題があるため、さらなる技術革新と政策の推進が必要とされています。
(引用:経済産業省HP)
主な課題
エネルギーアクセスの不平等
都市部では安定した電力供給が確保されている一方で、農村部では電力インフラが整っていない地域が多く存在します。これにより、教育や医療の機会が制限され、経済格差の要因となっています。
また、世界的にエネルギー価格の高騰が続いており、特に低所得者層にとって電気料金の負担が大きな問題となっています。持続可能なエネルギーを普及させるためには、コストの削減とインフラ整備の両立が不可欠です。
化石燃料依存
現在の世界のエネルギー供給の約80%は化石燃料(石炭、石油、天然ガス)に依存しています。これらのエネルギーはCO2を大量に排出し、気候変動を加速させる要因となっています。
さらに、化石燃料は枯渇資源であり、長期的には安定供給が難しくなる可能性があります。そのため、クリーンエネルギーへの移行が急務となっています。
再生可能エネルギーの普及
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーはクリーンで持続可能なエネルギー源ですが、発電コストや電力の安定供給といった課題があります。また、適切なインフラ整備が必要であり、多くの国では普及が進んでいません。
エネルギー効率の向上
エネルギーの無駄遣いは、持続可能な社会の実現を妨げる要因の一つです。特に先進国では、エネルギー消費の効率化が重要視されています。
各国の取り組み
デンマークの再生可能エネルギー政策
デンマークは風力発電の先進国であり、現在では国内の電力の約50%を風力発電で賄っています。また、エネルギー効率の向上にも力を入れ、持続可能な社会を目指しています。
中国の太陽光発電の普及
中国は世界最大の太陽光発電市場を持ち、大規模な太陽光発電所の建設を進めています。これにより、国内の再生可能エネルギーの割合を増やし、化石燃料への依存を減らす取り組みが進んでいます。
アフリカの分散型電力システム
アフリカでは、電力インフラが未整備の地域が多いため、ソーラーパネルを活用した分散型電力システムの導入が進められています。これにより、電力のない地域でも安定したエネルギー供給が可能になっています。
(引用:WORLD ECONOMIC FORUM)
日本の省エネルギー技術
日本は、省エネルギー技術の開発において世界的に高い評価を受けています。LED照明の普及、エネルギー効率の高い家電の開発、建築物の断熱性能の向上など、多くの分野でエネルギー消費の削減が進められています。
私たちにできること
省エネルギーを意識する
日常生活で電気やガスの使用を抑えることで、エネルギー消費を削減できます。例えば、
- 不要な照明を消す
- 省エネ家電を使用する
- 冷暖房の設定温度を適正にする
といった小さな行動が、大きなエネルギー削減につながります。
再生可能エネルギーを選ぶ
電力会社を選ぶ際に、再生可能エネルギーを活用した電力プランを選択することで、クリーンなエネルギーの普及を支援できます。
エネルギー問題について学ぶ
エネルギーの現状や課題について学び、周囲に広めることも重要です。学校や職場で勉強会に参加したり、SNSを活用して情報を発信することで、より多くの人に関心を持ってもらうことができます。
終わりに
「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標を達成するためには、政府や企業の取り組みだけでなく、私たち一人ひとりの行動も重要です。日々の生活の中でエネルギーを大切にし、持続可能な社会の実現に向けて行動を起こしていきましょう。

KENNY
Kenny
Webライター
名古屋市在住。 グルメメディアのライター/エディターとして活動するかたわら、環境問題にも取り組むITプロダクト会社に勤務。 持続可能なデジタル社会に興味を持ち、Web3分野を勉強中。