リジェネラティブな社会を描く。現役高校生環境活動家「てっちゃん」
てっちゃんの原点
高校3年生の環境活動家・リジェネラティブデザイナーである江澤哲哉こと「てっちゃん」の原点は、小学生の頃の何気ない会話にあった。
「昔はこんなに暑くなかった」と話す大人たちを聞きながら、「自分が大人になるころには、子どもたちが外で遊べなくなってしまうかもしれない、熱中症で苦しむ人が増えてしまうかもしれない」と、そんな未来を想像して悲しくなったこと、そして2019年、小学6年生の時に台風19号が襲来し、凄惨な被害を前に、友達に声をかけ、募金活動を行ったこと。振り返れば、それが最初のアクションだったという。
中学時代:「気候危機」との出会い
中学に入ると、学校に馴染めず体調を崩し、自宅療養や入院を経験。
「学校に行かなくていいという安心感と、この先自分はどうなってしまうんだろうという不安。そのはざまでゲームに没頭していました」
と当時を語る。
やがてゲームにも飽き、ひとりの時間が増えた。その時に出会ったのが、「中田敦彦のYouTube大学」や、NHKスペシャル「2030年 未来の分岐点」。そこで気候変動の深刻さを知り、自然と関心が深まっていったそう。
「人間がいなくなればいいの?」から出会った「リジェネレーション」
実はてっちゃんは、僕が立ち上げた Fridays For Future Yokohama (以下、FFF横浜)に中学2年生のときに参加している。
ある日のスタンディング中(街頭などで通行人に問題を発信すること)のこと。通りすがりの人に「どうしたら(気候変動が)解決するか知ってる?」と聞かれた。
「人間がいなくなればいいんだよ」と、その答えに強いショックを受けたという。
「すごく悲しかった。でもどうすればいいかわからなかった」
そして「仕組みを変える側になりたい」と考えるようになった彼が出会ったのが、「リジェネレーション」の考え方だった。
ごみを鶏の餌に変え、台所の排水を微生物や植物で浄化し、堆肥を土づくりに活かす。そうした循環の暮らしに触れ、「人間が自然を豊かにできる」という可能性を知ったのだ。
実践してきた取り組み
てっちゃんはこれまでに、さまざまな現場に飛び込んできた。
- 千葉・パーマカルチャーと平和道場
下水道などインフラに頼らない暮らしを体験。自分が飲む水や空気、お米もすべて自然から来ていることを実感した。ごみはコンポストにして堆肥化し、自分自身の循環が「見える」暮らしを体験。

- 静岡・浜松のフォレストガーデン「食べられる森」
いつ行っても収穫でき、分かち合う喜びが生まれる。森はCO₂を吸収し、医学的にメンタルヘルスにも良いと証明されており、「自分も豊かになり、周りも満たされる」ことを体感した。

- ゼロウェイストの服「Syncs.」
使う人が使い終わった後のことまで考える循環型の服。着ていてワクワクし、気持ちがよい。消費のあり方そのものを問い直す取り組み。
今後の展望:美作の限界集落を「未来の実験場」に
次の挑戦の舞台は、地域人口の50%以上が65歳以上の高齢者が占め、農業などの担い手がおらず限界集落と言われている岡山・美作。
「そもそも問題を生まないリジェネラティブな暮らしを体験できるモデルケースをつくりたい」と語る。
再エネを導入し、人工林には手を入れて災害を防ぎ、集落全体を元気にしていく。天然林はそのままでいいが、人工林は放置すると土砂災害につながる。そこに「人が関わる理由」を生み出したいと考えている。

現在、クラウドファンディングにも挑戦中!?
そんなてっちゃん、実は現在クラウドファンディングにも挑戦している。
「温暖化への不安や重たいイメージを希望に変えるクラファンにしたい」と話す。
ニュースで報道されるのは大きな災害ばかり。でもその裏には、根っこから社会をよくしようとしている人がたくさんいる。その姿を届け、一緒に学んでいける場をつくりたい。そんな思いが込められている。

てっちゃんから読者へ
はじめまして!⾼校3年⽣の江澤哲哉(てっちゃん)です。
中学⽣のころから気候変動や環境問題に関わってきましたが、活動していくうちに⾃分が疲れてしまうこともありました。そこで、井⼾⽔や⾬⽔での暮らしや⾃給⾃⾜ファミリーに会うなどするなかで、「⾃分も幸せになりながら地球をよくできる」と気づきました。
今は「⽣まれたときより良い地球にする」ことを⽬標に、⽇々模索しています。今はこのようにアクティブに動くことができていますが、初めからそうだった訳ではありませんでした。初めてのオンライン会議は、顔を出すのが怖くて、ミュートにしながらチャットをしたのを覚えています。(笑)
読者のみなさんが少しでもなにかやってみたい!と思っていたら、この記事が一歩踏み出す勇気になれば嬉しいです。
まだまだできていないことばかりですが、模索しながら頑張っていきます!よろしくお願いします!
編集後記
「環境のために我慢する生活ではなく、生き物としてのあたりまえの生き方を」。
てっちゃんの言葉は、僕自身が目標としている「ストレスフリーに社会や環境に良い行動を促す環境デザイン」の背景の想いと重なる部分が多くあった。ふつうの生活を社会にいい方向に無理強いするのは自分が潰れてしまう。結果として人間のウェルビーイングに反する。
だから、人が無理をして続けるのではなく、「自分も幸せになりながら地球をよくできる」—この視点こそ、次の時代の希望なのだと思う。
てっちゃんがFFF横浜にジョインしてくれたのは中学2年の頃。ドキュメンタリー映画の上映会を一緒に開いたり、小学生向けのプラごみアートや蜜蝋ラップのワークショップを企画してくれたりするなど、行動力と想いを持った存在。
「自分も幸せになりながら地球をよくできる」という彼の視点は、僕にとっても学びが多く、心強い仲間のひとり。

プラごみアート ワークショップ(FFF横浜企画)
MIYAKAWA RYO
宮川 亮
Fridays For Future Yokohama 設立者 / 東京都環境局「DO!NUTS TOKYO」第5期アンバサダー
2004年生まれ、早稲田大学3年生。16歳で環境保護の学生ムーブメント「Fridays For Future Yokohama」を設立。市議やNGOとの意見交換をはじめ、企業への講演や環境系イベントの主催・運営を行う。大学では、子どもの野外環境教育に携わるほか、アジア学生交流環境フォーラム参加、福島原発の視察、能登支援に携わる。活動を通して抱いた問題意識から、ストレスフリーに環境に配慮した行動変容を促すアイデアの社会実装に取り組む。大学の研究助成(24・25年度)、社会起業家支援プログラムに採択されたのち、上場企業に企画提案。 ボーダレス・ジャパン「JOGGO」公式アンバサダー(25年度)。東京都環境局「DO!NUTS TOKYO」第5期アンバサダー。