海が地球を守る?「ブルーカーボン」の力と可能性
ブルーカーボンとは何か?
「ブルーカーボン(Blue Carbon)」とは、「海洋や沿岸の生態系が吸収・固定する炭素(CO₂)」のことを指します。森林が二酸化炭素を吸収する「グリーンカーボン」に対して、海の生態系が担う炭素吸収の役割を表す言葉です。
具体的には、次のような海辺の植物や生態系がブルーカーボンの担い手とされています:
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マングローブ林(熱帯や亜熱帯の汽水域に生育する樹木)
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塩性湿地(潮だまりなど)
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海草藻場(アマモ場、ウミヒルモ場など)
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サンゴ礁や干潟も一部対象
これらの生態系は、光合成を通じてCO₂を吸収し、植物体や土壌中に炭素を長期間蓄えることができます。また、海中に沈殿する有機物(枯れた海藻や落葉など)も、炭素の「貯蔵庫」として働きます。
(引用:環境省)
なぜブルーカーボンが注目されているのか?
世界的にカーボンニュートラルの実現が求められる中で、陸上の森林だけではCO₂吸収の限界があることが指摘されています。そこに新たな希望として登場したのが、ブルーカーボンという「海の炭素吸収源」です。
注目される理由は大きく3つあります。
高い吸収効率
マングローブや海草藻場は、同じ面積の熱帯林よりも多くの炭素を吸収・固定するとされています。特に、地下の土壌に蓄積される炭素量が多く、100年以上の長期間にわたって保存されることも。
温暖化と海面上昇のダブル対策
これらの生態系は波や潮流の緩衝帯としても機能しており、気候変動による高潮や海面上昇から沿岸地域を守る役割もあります。
失われつつある生態系の再生可能性
過去数十年でマングローブ林や藻場は世界中で激減しましたが、保全や再生によって元の状態に戻すことも可能とされており、「失われた炭素吸収源の復活」が期待されています。
つまり、ブルーカーボンは気候変動対策と生態系保全を両立させる切り札的存在として、今まさに脚光を浴びているのです。
(引用:タイ国政府観光庁)
世界と日本におけるブルーカーボンの取り組み
世界の取り組み
国際的には、2009年に国連環境計画(UNEP)が「ブルーカーボンの可能性」を正式に発表して以降、カーボンオフセットや炭素市場への組み込みに向けた動きが活発化しています。
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アラブ首長国連邦(UAE)は、広大なマングローブ林を保全・拡大する国家戦略を立案
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アメリカでは、ブルーカーボンに関する研究拠点や炭素クレジット化の実験が進行中
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オーストラリアでは、アマモ場の再生プロジェクトを通じて地域雇用と生態系保護を両立
日本の取り組み
日本でも、「藻場(もば)の再生活動」や「ブルーカーボン・クレジットの試験導入」が始まっています。
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神奈川県三浦半島では、消失したアマモ場の復元プロジェクトが進行
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愛知県では、ブルーカーボンの吸収量をCO₂クレジットとして可視化する実験を実施
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日本政府は「グリーン成長戦略」の一環として、ブルーカーボンを活用した地域の脱炭素化支援を推進中
地方自治体や市民団体、漁業協同組合などが連携する形での取り組みもあり、「海の森づくり」として教育・観光・地域振興にも波及効果が期待されています。
私たちができること〜海と気候を守るアクションを〜
ブルーカーボンを支える生態系は、とても繊細です。沿岸開発、海洋汚染、乱開発、温暖化の影響により、今も減少の一途をたどっています。
だからこそ、一人ひとりの行動がその再生と保全に大きく関わるのです。
日常でできるアクション
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プラスチックごみを減らし、海洋汚染の防止につなげる
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地元の藻場や干潟の保全活動に参加する
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ブルーカーボン認証商品の購入や支援を通じて、間接的に保全活動を応援する
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海の自然環境への理解を深める教育や啓発活動への参加
また、今後はブルーカーボンに関連するクレジット取引やESG投資が広がることで、消費者・企業・自治体が連携して取り組める仕組みも増えていくでしょう。
青い地球を「海の力」で守る
ブルーカーボンは、「海にも炭素を吸収する力がある」という事実を、私たちに強く印象づけます。
森林や工場だけでなく、海や浜辺にも未来を変えるカギがある。それに気づくことが、持続可能な社会への第一歩です。
気候危機に立ち向かうためには、陸と海の両方からCO₂削減に取り組む総合的な視点が不可欠です。
私たちが海を大切にすることは、地球の未来を守ることにつながっています。
今こそ「青いカーボン」に目を向け、海と共に生きる選択をしていきましょう。
KENNY
Kenny
Webライター
名古屋市在住。 グルメメディアのライター/エディターとして活動するかたわら、環境問題にも取り組むITプロダクト会社に勤務。 持続可能なデジタル社会に興味を持ち、Web3分野を勉強中。

