ブルーフラッグとは?
「ブルーフラッグ」とは、水質や安全性、環境教育などの基準を満たしたビーチやマリーナに与えられる、世界で最も歴史ある国際環境認証のことです。
1985年にフランスで誕生し、デンマークに本部を置く国際NGO・FEE(国際環境教育基金)が運営しています。 認証の対象はビーチだけでなく、マリーナや観光船舶にも広がっています。ビーチの場合は水質、環境教育と情報、環境マネジメント、安全性・サービスという4分野33項目という細かな基準が設けられており、これらすべてをクリアしたビーチだけが青い旗を掲げることができます。
認証には1年間という期限があり、毎年あらためて審査を受ける必要があります。一度取得して終わりではなく、地域が継続的に海の環境を維持し続ける仕組みとして機能している点が特徴です。

(引用:一般社団法人日本ブルーフラッグ協会)
なぜブルーフラッグが注目されるのか?
ブルーフラッグが世界で広がってきた背景には、観光と環境保全を両立させたいという社会的な要請があります。海水浴客が集まるビーチは、放置すればごみや排水によって水質が悪化しやすく、生態系にも影響を与えかねません。 一方で、ビーチは地域経済にとって重要な観光資源でもあります。ブルーフラッグは、環境を守りながら観光客を呼び込むという、一見両立が難しいテーマに対する具体的な答えの一つと言えるでしょう。
認証を取得する過程では、行政・事業者・住民が協力して課題を洗い出し、改善に取り組む必要があります。この関係者間の連携こそが、ブルーフラッグの本質的な価値だとされています。国際的に信頼性の高い基準を通じて、地域の海が「誰もが安心して楽しめる場所」であることを客観的に示せる点も、注目される理由の一つです。
世界と日本の取り組み
ヨーロッパでは、ブルーフラッグの認知度が特に高く、夏のバカンスの行き先を選ぶ基準にする人も少なくありません。スペインは600か所以上のビーチが認証を受けて世界最多を誇り、ギリシャやトルコも上位に並びます。 南アフリカでは2001年に、ヨーロッパ以外で初めてブルーフラッグが導入され、その後カリブ海諸国やブラジル、ニュージーランドなどにも広がりました。2026年時点で、世界53か国・5,000か所以上のビーチやマリーナが認証を取得しています。
日本では、2016年に神奈川県鎌倉市の由比ガ浜海水浴場と福井県高浜町の若狭和田ビーチが、アジアで初めて認証を取得しました。以降、兵庫県須磨海水浴場や千葉県本須賀海水浴場にも広がり、東日本大震災からの復興を歩む宮城県・岩手県の海岸も認証を受けています。国内の認証運営は一般社団法人JARTAが、普及・取得支援は一般社団法人日本ブルーフラッグ協会が担っており、2026年5月時点で国内15か所のビーチ・マリーナが認証を維持しています。

(引用:一般社団法人日本ブルーフラッグ協会)
私たちにできること。海辺の小さな一歩
ブルーフラッグは行政や事業者が取得を目指す認証のように思えるかもしれません。しかし、私たち一人ひとりの行動も、その基準を支える大切な要素です。 たとえば、海水浴の際にごみを持ち帰る、決められた場所で分別するといった小さな行動は、ビーチの清掃管理という基準の達成に直結します。旅行先を選ぶときに、ブルーフラッグを取得したビーチを意識してみるのも一つの方法です。
また、地域の浜そうじや海の学習会などボランティア活動に参加することも、地域一体となった取り組みを後押しします。ブルーフラッグは、遠くの誰かが守るものではなく、日々の小さな選択の積み重ねによって支えられている認証なのです。
旗が示す、次の海のかたち
青い旗は、単なる目印ではありません。それは、その海を大切に思う人々の努力が積み重なった証でもあります。 美しい砂浜も、澄んだ水も、当たり前にそこにあるものではなく、誰かの手によって守られているものです。ブルーフラッグは、そのことを静かに教えてくれます。
次に海辺を訪れたとき、もし青い旗が掲げられていたら、少し足を止めてみてはいかがでしょうか。その旗の向こうに、地域の人々が続けてきた小さな努力の物語が広がっているのかもしれませんね。
KENNY
Kenny
Webライター
名古屋市在住。 グルメメディアのライター/エディターとして活動するかたわら、環境問題にも取り組むITプロダクト会社に勤務。 持続可能なデジタル社会に興味を持ち、Web3分野を勉強中。