「地球を3個も買えるお金」があっても。RADWIMPS「最後の晩餐」から考えるエコロジカルフットプリント
音楽を聴いていて、ふと耳に留まったフレーズが頭から離れなくなることはありませんか?
私にとっては、RADWIMPSの楽曲『最後の晩餐』にある一節がそうでした。
お金がほしいと誰かが言う 終わらないエコノミー (中略) 地球を3個も買えるお金 両手に抱えてもなお どこで何やってるんだ宇宙人 早く取り立てにきてよ (RADWIMPS「最後の晩餐」より)
「地球を3個も買えるお金」。
とてもキャッチーでありながら、現代の私たちが抱える矛盾を鋭く突いているように感じます。
いくら「終わらないエコノミー(経済)」を回してお金を稼いでも、私たちが住める地球は1つしかありません。
実はこの「地球3個」という数字、単なる比喩表現ではなく、現在の環境問題を語る上で非常にリアルな数字とリンクしているのです。
普段サステナブルな活動や発信に関わる身として、この一曲のフレーズから私自身が探求した「地球1個分の暮らし」と「社会システムのあり方」について考えたことをレポートします。

日本人の暮らしを続けるには「地球が約3個」必要?
ここで皆さんに知っていただきたいのが、「エコロジカル・フットプリント」という指標です。
直訳すると「生態上の(自然と調和した)足跡」となります。
私たちが生活を維持するために消費する食料や資源、そして排出するCO2などを吸収するために、どれだけの「地球の面積(自然の生産力)」が必要かを表したものです。
要するに、私たち人間の暮らしが地球にかける負荷を、「必要な地球の表面積」に換算した指標といえます。
とあるデータ(Global Footprint Network)によると、もし世界中の人々が、私たち日本人とまったく同じような暮らしをしたら、地球が「約2.9個」必要になると試算されています。
つまり、私たちが当たり前だと思っているライフスタイルは、地球1個分の限界をすでに大きく超えてしまっているのです。
ちなみに、この地球の限界(地球環境が自己回復できる限界点)のことを「プラネタリー・バウンダリー」といいます。
歌詞の「地球を3個」という表現と、日本のエコロジカル・フットプリントの現状が、奇しくもぴったりと重なり合います。
宇宙人が「取り立て」に来る前に
歌詞には、「宇宙人 早く取り立てにきてよ」という印象的なフレーズも登場します。
私はこの曲を聴くたびに、この「取り立て」とは、私たちが地球から「前借り」し続けている環境へのツケのことではないかと思うのです。
地球が1年間に再生できる資源の量を、人類が使い果たしてしまう日を「アース・オーバーシュート・デー」と呼びます。
今年(2026年)は、7月30日がその日でした。 1年のうちたった7ヶ月で、地球の「自然の年間予算」を使い切ってしまった計算になります。
残りの約5ヶ月間は、未来の世代が使うはずだった資源を切り崩して、今の生活(終わらないエコノミー)を維持している状態です。
いつか本当に限界が来て、地球(もしかしたら、宇宙人)から取り立てが来る前に、私たちは生き方を見直す必要があるのではないか?という野田洋次郎さんからのメッセージかもしれません。
私たちは、地球1個分でどう生きるか
いくら経済を回そうと、地球を2個、3個と増やすことはできないという矛盾。
だとしたら、これから必要になるのは、地球1個分の限界のなかで、どう生きていくかを考えることではないでしょうか。
大量生産・大量消費・大量廃棄の「終わらないエコノミー」。
たしかに、個人の努力論も大事だと思います。
しかし本当に向き合うべきは、「消費し続けること=豊かさ」と定義してきた「終わらないエコノミー」のシステムや価値観そのものを、どうアップデートしていくか、という問いではないでしょうか。
地球1個分の限界(プラネタリー・バウンダリー)を前提に、ビジネスの仕組みを変える。
大量生産の波に乗らない、スローファッションなどの新しい選択肢を面白がる。
そんな風に、これまでの「当たり前」に疑問を投げかけ、新しいカルチャーを創っていくこと。
ただ消費に乗っかるだけの生き方から脱却し、自分のスタイルを持つこと、そんな、地球に負担をかけないサステナブルな選択こそが、あるべき姿かもしれませんね。
次に音楽を聴きながら街を歩くとき、少しだけ自分の「足跡(フットプリント)」の大きさを想像してみませんか?
地球1個分で暮らすスマートな人が増えますように。

MIYAKAWA RYO
宮川 亮
Fridays For Future Yokohama 設立者 / 東京都環境局「DO!NUTS TOKYO」第5期アンバサダー
2004年生まれ、早稲田大学4年生。16歳で環境保護の学生ムーブメント「Fridays For Future Yokohama」を設立。市議やNGOとの意見交換をはじめ、企業への講演や環境系イベントの主催・運営を行う。大学では、子どもの野外環境教育に携わるほか、アジア学生交流環境フォーラム参加、福島原発の視察、能登支援に携わる。活動を通して抱いた問題意識から、ストレスフリーに環境に配慮した行動変容を促すアイデアの社会実装に取り組む。大学の研究助成(24・25年度)、社会起業家支援プログラムに採択されたのち、上場企業に企画提案。 ボーダレス・ジャパン「JOGGO」公式アンバサダー(25年度)。東京都環境局「DO!NUTS TOKYO」第5期アンバサダー。