みんなのガイド vol.1|ぷくぷく宮古島 代表 ウォーリー
宮古島に移住して7年、現在はシュノーケルショップ「ぷくぷく宮古島」を設立し海に優しいツアーをモットーにガイドをしています。 海洋系の専門学校を卒業し そこで学んだ知識や宮古島の海の素晴らしさ、環境問題などについて楽しく伝えられよう努めています。 ガイドとは別にウミガメを主体とした水中写真家として活動中です。
自然を愛し、地球単位で考えて行動している人をインタビューする企画「みんなのガイド」。第1弾では沖縄・宮古島でダイビングショップ兼シュノーケリングツアー「ぷくぷく宮古島」を運営しながら、素敵な海の写真を撮影する水中写真家「ウォーリー」さんにお話を伺いました。
進学を機に考えた「自分が好きなこと」
——小さい頃から海に携わる仕事を目標としていたのですか?
出身は東京なんですが、中学を卒業して、地元の工業高校に入学しました。高校では電気工事士を目指す人が多く、自分もその1人だったんです。
ただ、高校生活の中で学んでいるものに対して若干の違和感を感じながら生活していたのですが、卒業を控えて進路を考え始めた時「あれちょっと待てよ。」と思ったんですよね。ふと自分が好きなことってなんだろうと考えたんです。
「自分ってどういう時に楽しんでいたんだろう。海にいる時が一番活き活きしてるんじゃないか。自分が目指したいのって本当は海に携わる仕事なんじゃないか」と。生き物とか海についての話の方がわくわくするっていうか、心躍るような感じがしてて。
高校3年生まで学んできたんですが、そこから電気工事士になるっていう目標を捨てて、水族館の飼育員を目指すことに目標が変わったんです。
学校の先生にもそういった海や海洋生物に関わる進学先の資料がないか探してもらい、東京の葛西にあるTCA東京ECO動物海洋専門学校に入学しました。
(当時を思い出しながら笑顔でお話しいただいているウォーリーさん)
「好き」という気持ちから「守りたい」想いへ
——180度違う進学先を目指すなんて、大きな決断でしたね!
現在1歳の子供がいるのですが、やはり親目線で言ったら、ある程度いい学校に行って、いい大学に行って、いい就職先に行って、安定した生活をしてほしいなーっていうのは前までありましたが、今の大学生って、内定をもらったら偉い、いい会社に入ったら勝ちとか、そういう風潮が少なからずあると思うんですよね。
でも仕事終わりに居酒屋で上司や会社の愚痴を言ったりする人を見て、自分はどんなに仕事が大変で給料が少なくても、ガイドをした時のお客さんの意気揚々とした笑顔を見た時に、好きなことを仕事にして、やりがいを感じられて幸せだなと思うんです。
(子供達に海の楽しさを伝えるウォーリーさん:ぷくぷく宮古島HP)
——心を豊かにする仕事ですね。独立する前は何をされていたんですか?
元々は宮古島のダイビングショップ兼シュノーケリングツアーを行なっているお店で働いていました。宮古島にはそういったショップが多くあるのですが、そのショップがほかと違ったのは、珊瑚の養殖や保全をしたり、ツアーに参加したお客さんに対して環境の話や、講演活動も積極的に行なっていたりと、環境のことまでしっかりと考えていたんです。
自分が働くなら自然環境を守れるような仕事をしたいというテーマもあり、そのショップにインターンで働かせていただいきました。
学校を卒業した後もそのショップにお世話になり、1年半後に独立しました。
ぷくぷく宮古島
沖縄県宮古島でシュノーケリングやスキンダイビングのツアーやライセンス講習を行なっているダイビングショップ。1日1組貸切のツアーでは野生のウミガメが暮らすポイントや、綺麗なサンゴ礁、熱帯魚が生息するポイントでシュノーケリングツアーを楽しむことができる。
——専門学校にいた時から志がしっかりとしていたんですね。
やっぱり海が好きで、海が一番の遊び場であり、大好きな海が環境破壊や汚染でどんどん遊べなくなってしまうのはすごく切ないことだと思っていまして。海で遊ばせてもらっていたからこそ、海に恩返しをしたいと思っていました。
——その想いは突然現れたものなのか、もともと持っていたものなのでしょうか。
専門学校の科目で水族館で飼育方法やバックヤードに入ったり、スキューバダイビングのライセンスをとって、実際に野生の海洋動物を見に行ったりさせてもらったりしていたんですが、ターニングポイントになったのは、東京の利島にあるドルフィンスイムのガイドのお手伝いをした時に、野生のイルカと泳いだ時。
水族館で見るイルカも可愛いんですけれど、野生のイルカって本当に活き活きとしていて、100頭くらいの群れを見た時に本当に神々しかったです。
——100頭のイルカの群れを目前にするって、ものすごく貴重な体験で、TVでも見ることが難しいですよね。
その時に、水族館で飼育するのではなくて、自分ももっと自由に、大きな海と一緒に、海を相手に仕事をしたいと思ったんです。
本当に心が躍り動かされる体験でした。だからこそたくさんの人に知ってほしいし、そんな海を大切にしていきたいと思うんです。
海での楽しい体験から、海を大切にする気持ちを広げるツアー
——自身の体験と想いが、まさに今の活動につながっているんですね。ぷくぷく宮古島のツアーではどのようなことをされているのですか?
初めての方や年配の方でも安心してできるシュノーケリングツアーや、スキンダイビングといって素潜り体験のようなことが楽しめるようになっています。
ツアーの中では、参加者さんひとりひとりの行動が海にどのような影響があるのか、海の生態系はどのようになっているのかなどをお伝えしています。例えば、フィン(足につけるヒレ)で珊瑚礁を傷つけてしまうと、そこに住む魚たちの住処を壊してっしまうことになってしまったりします。
日焼け止めも海に流れてしまうことで生態系や環境を破壊してしまうので、海に優しい日焼け止めをお渡ししたりしています。
(環境負荷の少ない日焼け止め:みんなのちきゅう記事より)
些細なことですが、それに気をつけることで、参加した人たちを楽しませてくれる綺麗な海を守り続けることができるんだよってことを知ってもらえるようにお話をしています。
「海って綺麗ですよね!」「楽しいでしょ!」ということをを知ってもらい、宮古島を後にした人たちが日々の生活の中で環境に影響があることに少しでも配慮できるようになってくれたら嬉しいですね。
——宮古島での体験の後までしっかり考えてらっしゃるんですね。楽しい思い出と、環境に配慮する必要性を参加者さんの周りにも伝わっていくといいなと思います。
——ぷくぷく宮古島HPではウォーリーさんが撮影した宮古島の海中写真が多数ありますが、ウォーリーさんが宮古島が好きな理由はなんですか?
宮古島の海って、外側からだけでも非現実的なほど美しい景色がたくさんあって、海の中はさらに幻想的なんです。
透き通った海の中にたくさんの珊瑚礁があり、その中には魚やイルカ、海亀たちの営みがあって、完全に魅せられてしまったんですね。綺麗な海に入った時、心も体も洗われたというか、宮古島の海には、人を変えるパワーがあるんだなと。
宮古島に限らず海全般が好きなのですが、やっぱりこの美しい景色を守りたいですし、たくさんの人たちにも知って欲しくて写真を撮影したりしています。
(ウォーリーさんが撮影した美しい海中写真:みんなのちきゅう記事より)
好きになることが「守りたい」という想いのきっかけに
——人が環境に目を向けるために、ウォーリーさんは何が必要だと思いますか?
やっぱり「好き」が「愛」になり、そして「守りたい」になるための第一歩なんじゃないかなと。自然と触れ合って、その自然を好きになった時に人って「エコ」になれると思うんです。
そういう人がどんどん増えることで、海も山ももっと綺麗になって、綺麗になったらさらに自然が好きになる人が増えていく、守る人が増えていく。そんなマインドの人たちがどんどん増えていけばいいなと思いますし、僕がやっている海のツアーがその入り口になってくれればいいなと思います。
KENNY
Kenny
Webライター
名古屋市在住。 グルメメディアのライター/エディターとして活動するかたわら、環境問題にも取り組むITプロダクト会社に勤務。 持続可能なデジタル社会に興味を持ち、Web3分野を勉強中。