マリンガイドがやっている身近なエコ vol.3|海に優しい日焼け止め
だんだんと近づく海の季節
僕が活動拠点にしている宮古島、そこには青い海と真っ白な砂浜、泳げば綺麗なサンゴ礁、足を運ぶ人たちを魅了する美しい海があります。
そんな綺麗な海ではマリンレジャーなどの自然体験や海水浴など盛んに行われており、たくさんの人が綺麗な海を堪能しています。
しかしその反面、人々が海に入ることで、海を傷つけ海洋汚染が進んでいるという悲しい現実があります。
そこで僕は、海で仕事をさせていただいている身として、海をなるべく傷つけず環境に優しいガイドを実施するために、いくつかの汚染対策をしています。
今回はそのひとつ、海に優しい日焼け止めをご紹介します。
炎天下では欠かせないアイテム
亜熱帯地方である宮古島は太陽がギラギラで内地の夏の太陽より日差しが強いです。
それもそのはず。宮古島では日本列島よりも数倍の紫外線量が降り注いでいて肌へのダメージがすごいのです。油断するとあっという間に肌が真っ赤になり、ひどい時は水膨れになり火傷になってしまいます。
特に夏は背中やふきらはぎが真っ赤になり、痛々しい肌色の観光客を見ない日はないです。慣れている僕でも夏は唇が火傷状態になってしまうこともあります…。とほほ。という感じでみなさんも夏の紫外線対策として日焼け止めをお使いになるかと思います。
ですが、私たちが普段何気なく使っている日焼け止め、実はモノによってはサンゴにとって良くない成分が入っています。綺麗なサンゴを見るために泳ぎに行き、気を使って泳いでいたとしても、その日焼け止めをつけて海で遊ぶことがサンゴを衰弱させてしまっているのです。
では、なぜ日焼け止めがサンゴにとって脅威になっているのでしょうか?
日焼け止めが及ぼすサンゴへの影響
日焼け止めがサンゴにとってどのような悪影響を及ぼすのか。
実は日焼け止めに含まれる化学成分にはサンゴの成長や繁殖を妨げるものが含まれているんです。それをサンゴが吸収し、白化現象やサンゴの死に繋がる恐れがあるとも言われています。
また、この化学成分はサンゴだけでなく海洋生物の遺伝子損傷にも繋がるとも言われています。( オキシベンゾンまたはオクチノキサートを含むものは、サンゴ礁の白化を引き起こすことが、一部の研究者から指摘されています。)
そんな海に悪影響と言われる日焼け止め、実は世界中で年間推定14,000トンも海に流れているという調査結果が出ています。海の生態系を支えているサンゴ礁の危機は、そこに住む生き物だけでなく海全体の危機にもなり得るのです。(※海洋財団ページ参照)
※ハワイ発祥の日焼け止めを愛用しています。その他に島内では、コンビニや売店など、あちこちでサンゴに優しい日焼け止めが販売されています。
海を楽しみつつ海を守る
こうして、日焼け止めが起こす海洋汚染について知り危機感を感じ「海に有害な物を流さないために少しでも自分にできることはないか?」と考え思いついたのが、お客様への海に優しい日焼け止めの無料貸し出しサービスです。
僕のツアーでは、参加者の方にこちらで常備している海に優しい日焼け止め(オーガニック日焼け止め)を使っていただくよう勧めています。そうすることによって、海に優しい日焼け止めの存在を知っていただくことができます。
また、海の世界を目の当たりにした際、遊んでいても『エコって意外と簡単にできるんだ』『楽しい遊び場を守りたい』そんなエコマインドが生まれてくれればいいなと思っています。
僕が綺麗な海を守るためにできることの手段として、日々のツアーを通じ“海を楽しみつつ、海を守る”を繋げていきたいと思っています。
日本でも少しずつ普及している海に優しい日焼け止め。宮古島と同じ緯度にあるハワイでは、数年前にサンゴに有害な日焼け止めの販売はされなくなりました。
宮古島でも同じようになるといいなと思っています。そして、身近に使う物がひとつだけでも地球に優しい物になるだけで大きな環境保全になり得ると僕は思っています。
今回は日焼け止めのお話でしたが、他にもさまざまなエコな工夫をツアーに取り入れています。また近々お話する予定なので、興味がある方は次回も見ていただけたら嬉しいです。
WALLY
マリンガイド&水中写真家 ウォーリー
シュノーケルショップ「ぷくぷく宮古島」 代表
宮古島に移住して7年、現在はシュノーケルショップ「ぷくぷく宮古島」を設立し海に優しいツアーをモットーにガイドをしています。 海洋系の専門学校を卒業し そこで学んだ知識や宮古島の海の素晴らしさ、環境問題などについて楽しく伝えられよう努めています。 ガイドとは別にウミガメを主体とした水中写真家として活動中です。