間伐材を有効活用「バイオ燃料という可能性」
森林の管理と間伐材の有効活用
現在の日本は、国産木材の需要が少なくなり、その森林資源は行き先を失いつつあります。
需要がなければ当然のごとく供給はされません。立派に生育した樹木も森林の中に「在庫」として残っているというわけです。
しかし樹木は缶詰や真空パックにして保存できません。まして植物であり、伐採せず放置すれば同じ状態で保存することは困難です。
日本の森林はその70%が人工林です。つまり人間の手入れが必要な森林が多いということです。
森林の役割は水源、災害予防、生態系の育み、酸素供給、そして樹木の生産です。適正な手入れがなされないまま放置された森林はそのバランスを崩し、本来の役割を保ちきれません。昨今の自然災害(河川の氾濫、土砂災害など)の頻発も決して目をつむれる問題ではありません。
適正な森林を保全・持続していくためにも国産材の利用、特に間伐材の有効活用を促進させていくことが求められています。
そこで今回は、バイオ燃料をエネルギー源とする暖房器具「ペレットストーブ」を自宅に導入し、その使用感やバイオ燃料について具体的に生活者目線でお伝えしたいと思います。
バイオ燃料とは?
化石燃料は必ずいつか枯渇します。温室効果ガスをできる限り抑えていくことは世界共通の目標。SDGSの観点からも注目したいのが再生可能エネルギーの実用化です。なかでもバイオ=バイオマス(生物資源)燃料は、再生可能な資源でありカーボンニュートラルなエネルギーとして地球に優しいエネルギーと言えます。
具体的にはサトウキビなど植物(資源作物系)を原料としたバイオエタノール、排泄物やゴミ(廃棄物系)由来のメタンガスがあります。
なかでも今回レポートするのは廃材や残材、間伐材といった「未利用系バイオマスエネルギー」に区分される「木質ペレット」です。
木質ペレットは細かく破砕した木片を小さく圧縮成形(ペレット)したバイオ燃料のひとつです。
ペレットストーブとは?
木質ペレットを燃料として使用する暖房器具のことです。
最近では一般住宅にも薪ストーブを導入している家庭も増えてきましたが、排煙や薪をストックするスペースがないなど、特に密集した住宅街では導入を諦める方も多くいらっしゃいます。
その点ペレットストーブは排煙も少なく、薪棚も必要ありません。屋内に設置するうえで特別な不燃処理や大がかりな工事も不要。
薪ストーブを入れるには条件が悪い…それでも炎の揺らめきを感じたい!という方にはピッタリかもしれませんね!
実際に導入してみたペレットストーブのメリット
・ペレットストーブ1台で家中を暖めることができた。
求めていた結果でもあるので非常に満足しています。なのでこの冬はエアコンや他の暖房器具は使っていません。
※(使用条件:愛知県尾張地方・区域Ⅳ 築3年の木造住宅 断熱:発泡ウレタン 窓ガラス:Low-eペアガラス)
・思っていたよりも排煙が少ない。
かなり排煙は少ないです。木の燃焼する特有の匂いはしますが、燃焼中に煙突から出る煙はほとんど目視できない量です。
しかしながらご近所へのお声かけ等、配慮は忘れずにした方が望ましいですね。
また地域によって次世代省エネルギー基準が異なるため、ペレットストーブの導入を検討している人は下記を参考にするといいです。
実際に導入してみたペレットストーブのデメリット
・木質ペレットを購入できるお店が少ない。
実際ストーブを購入する前に木質ペレットを在庫販売している店をリサーチしましたが、近所では1件のみでした。
ある程度の量を運ぶために毎回車で購入に行きますが、重い袋をいくつも継続的に購入するのは大きなハードルかもしれません。
・導入費用と燃料費が安いわけではない
ペレットストーブの平均価格は20万円~40万円前後と決して安くありません。
暖かさやメリットも違うため単純比較は難しいですが、その他の暖房器具を導入するのと差が出ることもありそうです。
進化し続けるバイオマス燃料
いかがでしたでしょうか?
今回はペレットストーブをきっかけにバイオ燃料の可能性について考えてみました。今後さらなる開発や、研究を進めていくことで、結果的にバイオ燃料が身近な存在になっていくといいなと思います。
特に間伐材の有効活用方法を実験しながら広めていきたいと思います。
バイオ燃料についてのセミナーやカーボンニュートラルな資源についての勉強会もたくさん行われています。
なお、2024年2月28日(水)〜3月1日(金)10:00 – 18:00(最終日は17:00まで)東京ビッグサイトにて「BIOASS EXPO(バイオマス展)」が開催されるので、より見識を深めて今後も発信していきます。
Kazoo
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リフォーム、リノベーションのKPPK代表
愛知県在住 リノベーション会社KPPK代表 【日本一のDIYマスター】 【ウッドライフアドバイザー】 住宅、店舗のリフォーム、リノベーションの他、DIY参加型リフォームや廃材を使ったワークショップ、出前授業、木を知るイベント『間伐体験ツアー』の開催 森林保全、森の役割と現状を伝えます。またモノづくりを通して人にも環境にも良い暮らしを提案をしています。 『モノづくりは時づくり』