人にも、地球にも、やさしいまちって?|フェアトレードタウン実現に向けた、まちの取り組み
私が住んでいる神奈川県逗子市は、日本で3番目の「フェアトレードタウン」です!
そして今、逗子市のお隣の鎌倉市も、フェアトレードタウンになろうと動き始めています!先日は、そのスタートアップイベントが行われ、私はパネリストとして登壇しました。
今回のコラムは、湘南から広がるサステナブルなまちづくりについてお話しします。
湘南のまち、逗子・鎌倉
みなさんは「湘南」と聞くと何を思い浮かべますか?
“海”、“おしゃれ”、“観光”などのイメージが強いと思いますが、自然豊かな湘南地域では、その環境を守るための市民活動がさかんです。
私が住む逗子市は、毎年夏になるとたくさんの海水浴客で賑わいます。
そこで気になるのが、海のゴミ問題。私が目にしたのは、溢れた海岸のゴミ箱や砂浜に散らばるペットボトル、お菓子の袋…。
逗子の海に来るのは観光客だけではありません。地元民も、サーフィンやヨット、ヨガ、犬の散歩、ランニングなど、さまざまな目的で訪れます。
その際、海岸を綺麗に気持ちよく保とうと、いくつもの市民団体がビーチクリーンを行っています。綺麗な海岸は、多くの人たちのクリーン活動によって成り立っているのです。
そんな逗子市は、“フェアトレード”の観点からも、環境を守ろうとしています!
フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」。
つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。(引用:フェアトレードジャパン公式サイトより)
言葉だけ見ると少し難しく感じますが、私たちが普段買っている食品や衣類などの生産者の健康を守ると同時に、厳しい環境基準があるため、地球の生態系を守ることにもつながるのです!
逗子市はそんなフェアトレードを、“まち全体で”取り組もうと市民が立ち上がりました。
そして2016年には日本で3番目の「フェアトレードタウン」に認定されました。
フェアトレードタウンって?
では、その「フェアトレードタウン」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
フェアトレードタウン運動とは、市民や企業、学校や行政などが一体となってフェアトレードの輪を広げようとする運動のこと。
2000年からイギリスで始まったこの運動は世界に広がり、今日では世界で2222のフェアトレードタウンが生まれています(2023/03/09現在)。
日本でも2000年の熊本市認定を皮切りに現在6都市が認定を受け、全国に広がりつつあります。
フェアトレードタウンに認定されるための条件には、以下の6つがあります。
①推進組織の設立と支持層の拡大
②運動の展開と市民の啓発
③地域社会への浸透
④地域活性化への貢献
⑤地域の店等によるフェアトレード産品の幅広い提供
⑥自治体によるフェアトレードの支持と普及
市民団体や自治体、地元のお店が連携して取り組んでいく必要があるのです!
市民活動が盛んな逗子
逗子市では、逗子フェアトレードタウンの会が中心となって、活動を進めています。
たとえば…
・世界の現状やフェアトレードについて学ぶための講座を開催
・ファッションショー、映画祭などのイベントを企画
・市内の飲食店と協力してフェアトレードランチキャンペーンを展開
・障がい者のアートを用いた「ずしチョコ」や「Zushi Coffee」の開発
・市と共催で「フェアトレードフォーラム」やマルシェを開催
など、誰もが楽しみながらフェアトレードをより身近に感じられるように活動しています。
フェアトレードタウン鎌倉ゼロ次会
そして、これまでご紹介した逗子市のお隣、鎌倉市でも、いまフェアトレードタウン認定に向けた取り組みが進んでいます!
2023年1月15日には、鎌倉市の安国論寺観音堂にて「フェアトレードタウン鎌倉ゼロ次会」が開催されました。
私はパネリストとして呼んでいただき、鎌倉市のパッションを感じてきました!ここからはその時のお話をします。
まずは、パネルディスカッション「フェアトレードタウン鎌倉に向けて」。
コーディネーターは、鎌倉市エシカル消費推進アドバイザー/一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉 里花(すえよしりか)さんが務めてくださいました。
パネリストとして、一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム理事の胤森(たねもり)さん、鎌倉市共生共創部地域共生課・担当課長の矢作(やはぎ)さん、逗子市でフェアトレードタウン活動・環境保全に取り組んでいる若者代表として私、の3人が登壇しました。
まず、なぜ鎌倉市から取り組むのかについて矢作さんからお話があった後、胤森さんからフェアトレードタウンの意義や基準についてお話ししていただきました。
鎌倉市は国からSDGs未来都市として認定されており、持続可能な社会を実現するためにエシカル消費の普及に取り組んでいるといいます。
「日頃手にする商品を知らないうちに選ばされるのではなく、自分らしく選びたいものを選べる環境をフェアトレードタウン運動で実現したい。」とのことでした。
私も、そのような社会が当たり前のように広まったらいいなあと思います。
私は、逗子市の取り組みについて紹介した後、Z世代として、これからどのように活動や取り組みを進めていったら良いかについて、私の考えをお話ししました。
私は環境問題や社会課題に取り組む上で、感じることがあります。
それは、“「楽しい」という気持ちが大切”だということです!
フェアトレードの商品企画をした際は、関心のない方にも「かわいい」「オシャレ」から商品を手に取ってもらえるように工夫しました。フェアトレードの商品企画のお話は、また別のコラムでしたいと思っています。
例えば、ポイ捨て問題を解決したいとき、ごみ箱の上にバスケットボールのゴールがあったら、楽しくて、きちんとゴミ箱に捨ててもらえそうですよね!
私は、持続可能な社会を目指していくためには「私たちの心が持続可能でなくては意味がない」と思っています。“やらなきゃいけない”ではなく、“楽しいからやりたい”とエシカルな取り組みが広がるといいなあと思います!
鎌倉でやりたいことを話し合ってみた!
パネルディスカッションのあとは、参加者で「タウン認定に向けてやりたいこと」を話し合うワークショップが行われました。
「イベント」「教育」「商品開発・お土産」「メディア」の観点でグループに分かれ、それぞれがやりたいことを付箋に書き出し模造紙にまとめて交流しました。
出たアイディアの例として…
・鎌倉らしいフェアトレード商品の販売、ファッションショーを行うフェアトレードフェスを行い、認知を広めたい
・ゲーム、スタンプラリー、まちのコイン、スマホアプリを活用するなど、楽しく学べるようにしたい
・5月に逗子が行うイベントと同時にイベントを開催し、周遊できると良いと思う
・鎌倉彫の体験や、飲食店など、観光を軸にしたコラボレーションをしたい
・観光客の方に情報発信するため、フェアトレード商品を取り扱う店舗の情報と観光情報を合わせたマップの作成などを行いたい
などがありました。
私は「教育」のグループにいましたが、学生からおじいちゃんまで幅広い年代のメンバーと、それぞれの職業や今までの経験から考えたアイディアや理由を話して交流でき、とても楽しかったです!
さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが集まって、同じゴールを目指す。その魅力を実感した1日でした。
これからもいろいろなコラムを書いていきますので、どうぞよろしくお願いします!
ASHA ISONO
磯野 アサ
神奈川県逗子市出身の20歳。中学生の時に児童労働問題やフェアトレードに関心を持ち、高校ではVeganについて研究した。環境団体の立ち上げ、サステナブルコスメに関するインターン・アルバイトをしたり、ミュージカルやアカペラのサークルに所属し音楽活動を行ったりしている。「楽しく」世界の問題の解決を目指せるアイディアを日々模索している。