知ってるようで知らない海のこと vol.1|海の透明度について知る
僕は普段、沖縄の離島宮古島で、環境に優しい案内をモットーにシュノーケリングガイドをしつつ、海の写真家活動を行っています。
このコラムでは、海の魅力や環境問題などについて、僕が実際に宮古島の海を見て感じたことをお届けしていきます。
今回は、「海の透明度」についてお話しします。
水の透明さを表す“透明度”
沖縄の海に訪れたことのある方、行ったことはないけど写真やテレビなど、メディアで見たことがある方の多くは、“沖縄=海が綺麗”というイメージを持っているのではないでしょうか?
その理由の中には「透明度」も含まれています。
みなさんが、なんとなく使っている“透明度”という言葉。
そもそも、透明度の高い海と低い海には、どのような違いがあるのかご存知ですか?
「汚いものが混じっているかどうか?」「泥や土砂が入っている割合によって違う?」
このような可能性も十分にありますね。
でも、実はそれ以外に、それぞれの海によって明確な違いがあるんです。
透明度の高い海、低い海の違い
透明度の高い海と低い海の違い、一体何がどう違うのか…?
それはズバリ、“植物性プランクトンの量”なんです!
植物性プランクトンの量が多いと海の透明度が低くなり、逆に、プランクトンの量が少ないと透明度は高くなっていきます。
海の透明度を左右するカギ、“植物性プランクトン”って何?
海の透明度を左右する重要な存在“植物性プランクトン”とは一体何なのでしょうか?
植物性プランクトンとは、海中を浮遊する微小な植物のこと。光合成をして成長したり、数を増やしたりする生き物です。
植物性プランクトンは、オキアミなどの動物性プランクトンに捕食され、それをまた小魚が食べ、最終的に大きな生き物たちのエサになる…まさに食物連鎖のスタート地点ともいえる生き物なんです。
つまり、植物性プランクトンが多いのは、栄養がとても豊富な海だという証。植物性プランクトンが少ない場所は、栄養が乏しい場所なんです。
透明度の高い沖縄の海って、どんな海?
先述の通り、沖縄の海について、多くの方が透明度の高い海をイメージしていることと思います。
ここまでのお話をまとめると、見えてくること。
それはつまり、沖縄の海は“透明度が高い代わりに、海の栄養が乏しい”という特徴があるということなんです。
僕たち人間でいえば、砂漠に近い過酷な環境下であるようなもの…。
みなさんはそんな環境のなか、生き抜く自信はありますか?僕はないです(笑)。
ここまで読んで、
「じゃあ、沖縄にいる魚たちは、生きていくのが大変じゃないの?」
そう思った方もいるのではないでしょうか?
沖縄の海で魚たちが元気に泳げる理由。それは“サンゴの恵み”
砂漠のように栄養の乏しい沖縄の海。
そこで暮らす南国の魚たちは生きるのに一生懸命!…ですが、決して栄養が無いわけではないんです。
沖縄の海では、足りない栄養や魚たちが生き抜くために必要な要素をサンゴ礁が補い、生き物たちにとってオアシスのような役目を果たしているんです。
過酷な環境下でも、南国の魚たちが元気に泳げる理由は、サンゴの恵みがあるから。
自然って上手くできていますよね。
知れば知るほど楽しい、海のお話
いかがでしたか?
今後はこのように、知れば知るほど楽しくなる、海にまつわるお話や僕自身の日々の活動、簡単に自然に優しくなれるアクションなどをお話ししてきたいと思います。
サンゴ礁の詳しい内容については、また次回お話できたらと思っています!
次回のコラムも、おたのしみに。
WALLY
マリンガイド&水中写真家 ウォーリー
シュノーケルショップ「ぷくぷく宮古島」 代表
宮古島に移住して7年、現在はシュノーケルショップ「ぷくぷく宮古島」を設立し海に優しいツアーをモットーにガイドをしています。 海洋系の専門学校を卒業し そこで学んだ知識や宮古島の海の素晴らしさ、環境問題などについて楽しく伝えられよう努めています。 ガイドとは別にウミガメを主体とした水中写真家として活動中です。