マリンガイドがやっている身近なエコなことvol.4|海に優しい曇り止め
たくさんの人が海へ訪れる夏
夏が近づくこの季節、日本の南国沖縄では水温も温かくなり海で遊ぶ人も大幅に増えてきました。
沖縄に限らず、夏はたくさんの人が海に訪れる季節。海での楽しみ方はさまざまですが、今回は海で泳ぐ方に向けて、ぜひ真似してほしいエコなことをご紹介します。シュノーケルなどされる方は必見ですよ!
そのエコなこととは…ズバリ!シュノーケルマスクの曇り止め方法です。
曇り止めと聞いてピンと来る方、いつも曇り止めなんかしてないよ、という方。それぞれかもしれません。しかし、ちょっとしたことでマスクの曇り止めができ、それがエコな曇り止め方法ならやるしかないですよね!?
ここからは、ガイドの僕が実際にツアーで実施している曇り止め方法を詳しくご紹介していきます。
まず、曇り止めとは言葉の通りマスク(シュノーケル)の曇りを防ぎ、水中での見晴らしをよくするためのものです。シュノーケリング経験者やプールでゴーグルをつけたことがある方はなじみ深いかもしれませんね。曇り止めをしないとすぐにマスクが曇ってしまい、せっかくの綺麗な水中やお魚が見えづらくなってしまいます。
また、その曇りを泳いでる最中に取ろうとして水を飲んで溺れてしまう…という事故にも繋がる可能性があるため、ガイドをしている僕は、曇り止めは念入りにしています。
この曇り止めは泳ぐ前に1回するだけでツアー中に曇ることはなくなります!
曇り止めの種類
そもそも曇り止めにはどんな方法があるのか、大きく分けて以下の4つがあります。それは、洗剤や歯磨き粉を使う・専用の曇り止め剤を使う・自然由来のものを使う・自分の唾液を使うという方法。
マリンレジャーが盛んな沖縄エリアでは船に乗ってポイントへ向かうさまざまなツアーがありますが、僕が知る限り、曇り止めの際は食器用洗剤などの中性洗剤を薄めた曇り止め液を使っているところが多いです。
この方法はマスクに洗剤をつけ、軽くガラス面を擦ったら海水で洗い海に流すという方法です。効き目が強く手軽に使うことができる方法ですが、洗剤の中には汚れを剥がす成分として界面活性剤が含まれており、この成分は自然に分解されないのでずっと海を漂ってしまいます。
そういった洗剤で曇り止めを行うと、知らないうちに海を汚してしまうことに繋がります。洗剤を使っている方は悪意はないと思いますし、それがシュノーケリングの曇り止め方法として共通認識だったのこともあり、私自身も海の勉強をするまでは同じ方法で曇り止めをしていました。
※右上に界面活性剤の表記あり
このことを知り「“海を楽しむためにはまず、海に洗剤を流す”のではなく“海を楽しみつつ海を守る”にしたい。」と、打開策はないかと悩んだとき、地元の人と他愛のない話の中で今の方法を教えてもらい「これだ!」と思いました。
その打開策として教えてもらった、エコな曇り止め方法に使うものがこちらです!
海に優しい曇り止め、その正体とは?
葉っぱ?と驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際にツアーにいらっしゃるお客様もびっくりされる方が多いです。中には「カメにあげる餌かと思った」なんて言われたこともあります。
そう、僕が行っている海を汚さずそして効き目も抜群の曇り止め方法…。それは、植物の葉を用いた曇り止め、つまり自然由来の曇り止めです。
とても原始的な方法で、先人の知恵は本当に効きます。この葉っぱは宮古島の海岸沿いに自生するモンパ・クサトベラの葉というものです。
ビーチで泳ぐ前にこの葉っぱを取って、下記の方法で曇り止めを行いシュノーケリングをしています。この葉っぱは沖縄のビーチであればほとんどのビーチにあるので宮古島以外のビーチでも実践して使えます。
やり方はとても簡単!マスクを軽く濡らし葉っぱを揉み、その後にガラス面の内側を擦り海水で流す。これだけです。
このやり方は手軽にでき、かつ自然由来で海に流しても洗剤ほど害がないので、海を傷つけず海を楽しむことができます。
その他、打ち上がった海藻やヨモギでも同じやり方で曇り止めができるので、興味がある方は試してみてください。
このようなものがない場合は…どこにでもあるもの!それは自分の唾液です。やり方は同じでレンズに唾液をつけて擦って洗い流すだけ。この夏シュノーケルマスクやゴーグルをつけて泳ぐ予定がある方はぜひ試してみてくださいね!
しかし、注意点もあります。新品のマスクには商品を保護するための油膜コーティングがされており、コーティングがされた状態ではいくら曇り止めをしても効かずに曇ってしまいます。
ですので、新品のものを使う際は油膜落としを行ってから曇り止めをして使用してくださいね。(油膜落としは、使用前に食器用の洗剤で3,4回マスク全体をよく洗うとできます。)
曇り止めで自然に優しく
ここまで、海に優しい曇り止めについてのお話ししましたが、洗剤を使った曇り止め=悪いと言いたいわけではないです。
むしろ曇り止めをしっかり行うことで、水難事故やサンゴの上に人が立つことを防ぐことにも繋がり、サンゴや海の生き物の住処の破壊を防ぐことができます。
ですので曇り止め自体が、結果的に自然に優しいと僕は思っています。
実際僕が見ている限り、一般の方が泳いで遊んでる際にサンゴに立つ人のほとんどがマスクの曇りを直すために立っています。
マスクの曇りは水難事故にも繋がる恐れがあるので、この夏シュノーケリングやダイビングを予定している方はしっかり曇り止めをして安全に遊びましょう。
そしてエコに興味がある方はぜひ、僕と同じ曇り止めにチャレンジしてみてくださいね。次回のコラムもお楽しみに。
WALLY
マリンガイド&水中写真家 ウォーリー
シュノーケルショップ「ぷくぷく宮古島」 代表
宮古島に移住して7年、現在はシュノーケルショップ「ぷくぷく宮古島」を設立し海に優しいツアーをモットーにガイドをしています。 海洋系の専門学校を卒業し そこで学んだ知識や宮古島の海の素晴らしさ、環境問題などについて楽しく伝えられよう努めています。 ガイドとは別にウミガメを主体とした水中写真家として活動中です。