みんなのちきゅう | 「一人でも多くの実践者を増やす」ことを目指し、全国の活動家とメディアを作り上げています。

生ごみを栄養に変える!コンポストの魅力に迫る②

磯野 アサ
| 2024/03/02
最近話題になっているコンポスト。現在はさまざまな形や種類のものがあり、誰でも簡単に始めることができます。今回は「コンポスター環」について。これを読めば今日からあなたもコンポスター!

ひとつ前の記事では、生ごみの排出が環境にも市の財政にも負荷をかけている問題を取りあげました。引き続き生ごみ処理問題の救世主となるコンポストについて!今回は「コンポスター環」について、開発者へのインタビューを通してご紹介します。

 

コンポスト②「コンポスター環」

「コンポスター環(たまき)」とは、神奈川県藤沢市にある「農家レストランいぶき(以下いぶき)」にて開発された、家庭用コンポストです。いぶきは私が通っている大学のキャンパスから近く、お気に入りのレストランです。地産地消を超え「自分で作物を育てて、自分で食べる。」という「自産自消」を推奨しており、無農薬・無化学肥料の野菜でつくられた美味しい料理をいただくことができます♪

 

(農家レストランいぶき「9種惣菜のヘルシープレート」)

 

そこで出会ったバッグ型のコンポストが可愛らしく、かつコンセプトも魅力的であるため、今回はいぶきの元店長、里さんへのインタビューを通してみなさんにお伝えします!

 

元店長の里さんへインタビュー

「コンポスター環」の開発・製造・販売をされていた、農家レストランいぶきの元店長(インタビュー時に店長)の里さんにお話を伺いました。

 

(元店長の里さんにインタビュー(2023年4月))

 

Q,環の開発のきっかけはなんですか?

→元々はいぶきで農業体験をやっていて、自分で植物を育てる楽しみ、育った野菜や果物を食べる楽しみを多くの人に感じてもらいたくて、プランターでもできるといいなと思ってました。

そのとき、毎日大量に出る生ゴミの処理にも困っていて、ある日捨てるのをやめて土に戻すことを思いついたんです。それは環境にやさしいことだし、プランターの堆肥にも自分の畑の堆肥にもなって非常に良い。そこから、環の開発をすることにな李ました。名前は覚えやすいものがよく、野菜が循環することから「環(たまき)」と名付けました。

 

Q,布のカバン型は珍しいですが、どうしてこの形なのですか?

→始めた頃は毎日実験の繰り返しでした。それこそ最初は木の箱型で、生ゴミを入れるのにいろいろな土や入れ物を試し、半年ほどしてようやく土の配合などベストな形が見つかったんです。箱は通気性があっていいけど、蓋の隙間からどうしても虫が入ってきてしまうから、家でやるならチャックがある方がいいと思い、カバン型になりました。

でも、それもカバンの工場とかとさまざまな打ち合わせをしたり、細かくデザインを決めて何回もやりとりをしたりなど、商品化は結構大変でしたね。

 

(円形のカバン型の環)

 

Q,環ではどのように生ゴミがすぐ消えるのですか?

→それには微生物が大きく関係しています。例えば、自分の台所で生ごみをビニール袋入れるとすると、臭うから縛って密封すると思うけれど、3日後に開けたらさらに臭い…。

一方で、それをお皿の上に3日間置いておいたら、臭いとしては密閉していたものよりも臭くないんです。これは空気が好きな「好気性微生物」が増えるからで、密閉すると空気が嫌いな微生物「嫌気性微生物」が増える。好気性の方が分解スピードが10倍から20倍早いから、環では通気性の良い布製で混ぜやすいチャック型にして、腐敗せず早く生ゴミを分解できるようになっています。

 

Q,環のメリットは?

→大きくわけて2つ。まずは、家庭で簡単にできること。庭やベランダがなくても家の台所に置くことができ、生ごみが出たらすぐに入れることができて非常に便利。混ぜるのも簡単で、1日1回ほど混ぜるだけで2-3ヶ月で堆肥が完成します。見た目もかわいらしく、初心者でも簡単にコンポストを始めることができるようになっています。

2つ目は、完成した土(堆肥)をいぶきに持ってきたら、無農薬野菜と交換してくれること。そうすることで、自分が作った土で育った野菜をもらって食べることができ、地産地消コミュニティができる。土を渡したら、また新たな土で堆肥づくりが始まり、「循環」する。この農業コミュニティを今後はさらに拡大していきたいと考えています。

 

自分の地域でもコンポストを導入したい!

前回と今回の記事から、コンポストに魅力を感じた方、やってみたいと思われた方もいるのではないでしょうか。「でも、初期費用が高くてなかなか始められない…。」という方に対して、地域で補助金制度を設けているところがあります。

 

(引用:「農家レストランいぶき」HP

 

例えば、今回ご紹介した「農家レストランいぶき」のある神奈川県藤沢市では、「コンポスター環」が通常価格で本体8,800円(土込み)+配送料1,390円の計10,190円のところ、市民は3,000円(配送料込み)で買うことができます。私が住んでいる逗子市も自治体からの補助が出ます。これなら気軽に始めることができますよね♪この補助制度が広がるといいな思います。

 

みなさんの地域はどうでしょうか。乾燥型生ごみ処理機「パリパリキューブ」のHPでは、各自治体の補助制度を検索することができます。ぜひ確認してみてください。

もしまだ自分の住む地域に制度がない場合は、ぜひ自治体に言って制度をつくってもらいましょう!同じ想いの市民はいるはずなので、連携すると大きな力になります。

自分の生活に合ったタイプを選ぼう

現在コンポストにはさまざまなタイプのものが出ています。私がご紹介した、土に生ごみを入れて微生物に分解してもらうのものの他に、乾燥型の生ごみ処理機などもあります。時間がない方や早く堆肥をつくりたい方はそちらが適しているかもしれません。

お庭やベランダがある方はぜひ「バクテリアdeキエーロ」を、家の中で手軽にコンポスト&野菜栽培に関心のある方は「コンポスター環」をおすすめします!

 

土に触れることによるメンタルヘルス効果もあると言われているので、日頃の生活にコンポストを取り入れてみてはいかがでしょうか♪

 

(環の土でさまざまな植物を育てている里さん)

 

環境にもひとにもやさしいコンポスト。

ぜひ、自分の生活に無理なく楽しく取り入れられるものを探してみてください!

 

SHARE

この記事をシェアする

生ごみを栄養に変える!コンポストの魅力に迫る②

| 2024/03/02
磯野 アサ
SHARE
磯野 アサ

ASHA ISONO

磯野 アサ

神奈川県逗子市出身の20歳。中学生の時に児童労働問題やフェアトレードに関心を持ち、高校ではVeganについて研究した。環境団体の立ち上げ、サステナブルコスメに関するインターン・アルバイトをしたり、ミュージカルやアカペラのサークルに所属し音楽活動を行ったりしている。「楽しく」世界の問題の解決を目指せるアイディアを日々模索している。

「一人でも多くの実践者を増やす」ことを目指し、全国の活動家とメディアを作り上げています。

ソーシャルグッドはかっこいい!
を合言葉に集った全国の環境活動家が
さまざまな情報を発信していきます。

ENVIRONMENTAL ACTIVIST ENVIRONMENTAL ACTIVIST

IMAI YOSHINOBU

今井 啓敦

株式会社ワンダフルライフ代表

TANAKA HIDENORI

田中 秀典

縄文企画代表

SAGARA NAO

相良菜央

アイサーチ・ジャパン代表

ASHA ISONO

磯野 アサ

KAITO SASHIKATA

指方 海斗

ビーチクリーン事務局 代表

KATRIN MIYAZAWA

宮澤カトリン

NPO法人HAPPY PLANET代表

SHU KUDO

工藤柊

株式会社ブイクックCEO

MIKA KANEDA

兼田 美佳

ONLINE SALON

みんなのちきゅうオンラインサロン

ソーシャルグッドはかっこいい! を合言葉に集った全国の環境活動家が さまざまな情報を発信していきます。

COMMING SOON!