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教えて!高津先生!vol.3|食品ロスと貧困の関係

Kenny
| 2024/04/01
日本もったいない食品センターの高津博司(こうずひろし)さんをゲストに迎えて、連載形式で食品ロスについての現状をお伝えいただきます。 第2回目のテーマは「食品ロスと貧困の関係性」。

食品ロスが世界的にも注目されている中、私たちの住む日本を含めた先進国と開発途上国ではどのような背景で食品ロスが生まれているのか。

また、先進国である日本でも明日の食事がままならないほどの貧困に喘ぐ人たちがいます。

なぜそのような背景を持った人たちが生まれてしまうのか、そしてNPO法人日本もったいない食品センター(以下:日本もったいない食品センター)での支援活動について高津さんにお話を伺いました。

 

高津博司
NPO日本もったいない食品センター 代表理事

愛媛県川之江市で生まれる。神戸の高校を卒業後、海上保安学校に入校、9年勤めたあと退官し、会社設立(総合商社)。 商社の業務で食品ロスの現状を目の当たりにする。商社で行っていた慈善事業(災害救援物資支援、生活困窮者支援)を引き継ぎ、2017年2月食品ロス削減と生活困窮者支援(貧困解決)に向けたNPO法人日本もったいない食品センターを設立。

NPO法人日本もったいない食品センター

 

先進国と開発途上国の食品ロスの現状

——先進国ではなぜ食品ロスが生まれてしまうのでしょうか。

やはりそれは物質的に豊かであること。モノが豊富にあるから私たちは「選ぶ」ことができて、それを買うお金もある。いろいろな意味で豊かさを享受しているからこそ、もったいないという意識が薄れてしまっているんですね。

では開発途上国では食品ロスが生まれないんじゃないか。と思われがちなんですが、実は私たちとは別の問題で食品ロスが生まれている背景があるんです。

 

(さまざまな角度から貧困と食品ロスが生まれる経緯をお話しする高津さん)

 

——開発途上国ならではの事情とはどのようなものですか?

先進国企業は安く大量にモノを生産したいがために、土地や人件費の安い開発途上国に生産拠点を置いたりします。

しかし道路を含めた交通インフラがあまり整っていない中で、大量の食品を長距離運んだ結果、炎天下で食品が傷んでしまったり、積み上げられた食品が潰れてしまったりして出荷できず、結果、開発途上国内での食品ロスにつながっています。事業を営む中で生まれる事業系食品ロスですね。

 

(出荷前に廃棄となった食料。引用:WFP国連世界食糧計画公式HP

 

また「保存」に関しても、先進国のように電気設備や性能のいい冷蔵庫などが行き渡っているわけではないため、一般家庭においても食品を上手に保管できずに腐らせてしまっている現状もあるんです。これは家庭内での食品ロスとなるわけです。

食品加工をすれば多少長持ちするのですが、そういった技術も開発途上国ではまだまだ進歩していないんですね。

 

——先進国では主に「消費」。開発途上国では「生産」と異なる食品ロスが生まれているわけですね。

世界で年間13億トン近くの食品が捨てられてしまっていて、これは世界の年間食品生産量の3分の1にも及ぶんですね。

国連やさまざまな支援機関が、開発途上国で農作物の作り方などを教えたり物資支援をしたりしていて自給力は備わってきていますが、生産を行っている企業や国がインフラを整えるサポートをすることができれば、もっと有効に食品ロスを減少させることができたり、食品を流通させることができるんじゃないかな、と思います。

そして出荷された先の国でもその食品をしっかりと消費コントロールすることができれば、全体的な食品ロスは減少するはずだと思います。

 

日本でも「食べること」に困る理由とは

——先進国と言われる日本でも明日の食事もままならない方々がいますが、それはどういった事情なのでしょうか。

日本の貧困というのは世界的なものと比べれば低い方です。しかし日本の7人に1人の子供が相対的貧困と言われています。そしてひとり親家庭では2人に1人が貧困と言われています。

 

(子供の貧困推移。引用:日本財団

 

相対的貧困

その国や地域の水準の中で比較して、大多数よりも貧しい状態のこと。国の平均所得の中央値の半分に満たない家庭など。

 

なのでひとり親(母子)家庭にフォーカスして支援すれば貧困は減少させられるとして、それに対する国や自治体の救済政策は多く見受けられます。

 

国(こども家庭庁)の貧困対策

「子育て・生活支援策」、「就業支援策」、「養育費の確保策」、「経済的支援策」の4本の柱を軸に政策を推進。子ども食堂の紹介や在宅ワーク・フレキシブルな就労が可能な会社への就業支援、給付金や低金利貸付など様々な支援策がある。

(引用:こども家庭庁

 

——ひとり親家庭での貧困問題が一番多いということでしょうか。

もちろんひとり親家庭も多いですが、エコイートでも日本全国で食糧支援をしているなかで、申込者の話を実際に聞くなかで共通しているのが「健康ではない、もしくは健康ではない家族と生活している」人がかなり多くいることがわかったんです

たとえば介護が必要な家族や、生活支援が必要な家族がいる家庭では、一般家庭と同じように週5日8時間働くことができない、だから正社員雇用で働くことができなかったり、会社で責任のある立場に就けない。なのでアルバイトやパートなどで働く。そうすると収入が足りない。

特にコロナ禍では飲食店の休業もあったため、そういった方々からの申し込みがすごく増えました。飲食店でアルバイトした収入がそのまま入ってこないとなると、家計には大打撃だったと思います。月に2〜3万円足りなくなることで生活ができなくなる人たちが日本にもまだまだたくさんいるんです。

 

貧困改善に向けて日本もったいない食品センターとecoeatの取り組み

——貧困改善に向けて日本もったいない食品センターとecoeatで行っていることを教えてください。

私たちの運営するecoeatは食品ロスになる物の販売を行なっているだけではなく、前述したように申込者の方とやり取りを行い、支援が必要な人に食糧の配布を行うだけでなく、やり取りの中で生活支援に関わる情報を提供しています。

 

「ecoeat(エコイート)」とは?

NPO法人日本もったいないセンターが運営する食品ロス削減ショップ「ecoeat」では、廃棄予定の飲料や食品を買取る、または無償で引き取り、その中から賞味期限の残り期間にかかわらず安全かつ美味しく食べてられる食品を取り扱うだけでなく、福祉施設をはじめ、各支援団体、食料品が必要である方々に無償で配布などを行う。

「ecoeat公式HP」

 

申込者にはどのような経緯で食糧支援が必要となってしまったのかを詳細に伺っています。

その中には本当に食糧支援が必要な方もいれば、国や自治体の窓口や支援があることを伝えたりすることで、現状の解決に至る人もいるんですね。相談者が知らなかったことを知ることで、行動の幅が広がったりします。

自身の怠惰な生活によって困窮してしまった人たちからも相談があるのですが、前向きに生活を変えようと努力されている方にも食糧支援をすることで、広く見れば日本全体の経済に寄与するので、相談者のストーリーによって支援をしています。

 

——相談者に合わせて支援をされているのですね!

また、19店舗ある(2024年3月時点)ecoeatも今後支援の拠点として、今期さらに増加させようと考えています。

各地域にecoeatができればその地域の自治体や企業と共同支援が行えたり、店舗に来ていただいて無償提供できるようになれば、私たちは国や自治体から予算をもらっているわけではなく、自分たちで運営しているわけですから、少ない予算でたくさんの人たちを支援することができますし、来店した人たちとコミュニケーションをとることができるようにもなります。

 

(ecoeatでのお客さんとの会話を楽しく話していただいている高津さん)

 

そして賞味期限前後でもまだ食べられるものを安価に購入できるようにすることで、経済支援と食品ロス双方のアクションにも繋がります。

 

食品ロスに対する知識があれば貧困も減らせる

——ecoeatで購入することは経済的にも社会的にもたくさんメリットがあると思います。

そうですね。ecoeatで購入してもらうことで、間接的にですが食品ロスの削減につながっていることを知ってもらえたら何よりですし、生活に困窮しているから食べ物を大事にしているかといえば、一概にそうとはいえず、やはり知識がないからこそまだ食べられるのに捨ててしまっている人たちはまだまだ多く存在します。

ecoeatでは購入してもらったもののアレンジや保存方法などもお伝えしているので、より美味しく食べていただけますし、調理や保管についての知識もつくと思います。

そして食品ロスに対する正しい知識を身につければ少しでも経済的余裕が生まれますし、忙しくて自炊することができない方でも、冷凍食品も多く取り扱っているので、近くに私たちのecoeatがあればぜひ足を運んでみてほしいです。

 

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Webライター

名古屋市在住。 グルメメディアのライター/エディターとして活動するかたわら、環境問題にも取り組むITプロダクト会社に勤務。 持続可能なデジタル社会に興味を持ち、Web3分野を勉強中。

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